Go Toトラベルの概要が公表された。また各方面から寄せられた疑問への見解が、Q&Aとして示されている。事業の概要についてはすでに本紙でも報じられているが、小欄の役割として、旅館・ホテル(以下、宿)の立場から、注目すべきポイントを整理したい。旅行業者を通じて販売される「パッケージ旅行商品」はさておき、旅行代金=宿泊代金の場合を前提に考える(情報は7月13日現在)。
(1)宿泊代金の35%
旅行代金に対する支援率1/2のうち、宿泊代金に充てられるのはその7割だ。あとの3割は「地域共通クーポン」(以下「クーポン」)として支給される。1泊3万円で泊まる人なら、1万500円が宿泊料からの割引、4500円がクーポンとなる。上限額は1人1泊2万円なので、このうち1万4千円…これが宿泊代金分としての支援最大額だ。
(2)対象金額は税込み料金
支援対象金額は税込みベースであることを、念のため頭に置いていただきたい。これに対する支援額もおそらく税込みと思われるが、詳しい扱いはまだ示されていないので不明である。
(3)宿で直販売の場合…
(ⅰ)参加事業者登録
宿の直接販売が割引対象となるためには、事前に「参加事業者」としての登録が求められる。登録前の割引販売は対象外だ。登録の受け付けは7月半ばごろからとされているのでそろそろか…。
(ⅱ)予約システム等?
割引支援の対象となるための条件として、「宿泊施設の予約システムを通じて宿泊記録が確実に蓄積・保管される仕組みが構築されているなど、適正な執行管理のための体制が確保されていること」と示されている。電話申し込みの場合などについての明確な見解は出ていないが、受け付け後にシステムへ入力することでクリア可能かと推定される。気がかりなのは次の記述だ。「[割引販売を可能とするためには]一定のシステム改修等の準備が必要…こうした準備が整うまでの間は、支援対象となるが、あらかじめ割り引いた価格では購入できないので[旅行者が事後申請することになる]」([ ]内は筆者要約)。
もしこの「システム改修」が、割引の扱いなどに関して複雑なものを求められるとすれば、ハードルはかなり高い。登録事業者は公式HP等で紹介されることになりそうだが、登録できない宿は、旅行業者やネット予約サイトの送客に頼らざるを得なくなるだろう。
(ⅲ)感染症対策
事業者登録のためには、業界3団体より出されている「ガイドライン」に沿った感染防止対策の順守が条件となる見通しである。
(ⅳ)回収時期に注意
割引内容などの事務局でのチェックには、それなりの時間を要するのではないか。このところの助成金や給付金の例から見ても、支援額の振り込みはかなり後になる恐れもあるので、資金繰りに注意が必要だ。
(4)クーポン受け渡し
OTA経由および宿による直販売の場合、旅行者とのリアルな接点は宿しかない。このため地域共通クーポンの受け渡し事務も、宿が行うことになる。
(5)館内売店は?
地域共通クーポンの加盟店(利用対象店舗)として、館内の売店や喫茶なども登録可能と思われるが、現段階では明確になっていない。
(株式会社リョケン代表取締役社長)