浴衣(ゆかた)
旅館ホテルでは浴衣が用意されています。しかし、外国人のお客さまはどう着ていいか、またどこで着る物なのか分かりません。浴衣は寝間着のことですが、滞在中、ずっと着用したままでよいところが普通の寝間着とは違います。室内ではもちろんのこと、館内のどこにでも浴衣で出入りできます。外の散歩も可能です。食事処も浴衣のままでかまわないのですが、浴衣の上にはおる物(羽織)を着用したほうがよいことをお話しします。
外国人のお客さまは不慣れですから、仲居がお手伝いして差し上げましょう。浴衣は持ち帰ることができないこともお伝えします。
入浴
入浴も外国人のお客さまが戸惑うことの一つです。多くの外国人のお客さまは、事前にウェブサイトの動画サイトなどを見て漠然とはご存じですが、実際に風呂場を前にすると、やはり戸惑われるようです。
外国では他人といっしょに裸で風呂に入る習慣がありません。スパと呼ばれる温泉のある療養施設では、男女とも水着を着用します。外国人のお客さまにとっては裸で他人と風呂に入るのは勇気のいることです。お部屋に入られた時に、入浴方法、マナーについて説明します。この際、イラストが入った説明書があれば、外国人のお客さまにはわかりやすいでしょう。また、露天風呂や脱衣所にはカメラは持ち込めないこと、盗難や置き引きにも注意するようにお伝えします。さらに、浴衣やスリッパは形が同じであるため他の方と間違いやすいので、注意するようにお話しします。
温泉場だけに限らないのですが、館内で外国人のお客さまが困らないように、お知らせや注意点(お湯の出し方、止め方、温度・湯量の調整の仕方)などについて、日本語、英語、中国語、韓国語など多言語で表示しておきましょう。
入浴を終えて、お部屋に戻ると、タオルや手ぬぐいの処置に迷われる場合も多いので、干す場所の説明を最初にしておきます。
お部屋付きのお風呂やシャワーに関しても、どちらが湯でどちらが水か分かりにくいかもしれないので、仲居が蛇口をひねって説明します。
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■日本ホテルレストラン経営研究所=ホスピタリティ業界(旅館、ホテル、レストラン、ブライダル、観光、介護)の人材育成と国際交流へ貢献することを目的とするNPO法人。同研究所の大谷晃理事長、鈴木はるみ上席研究員が監修する書籍「『旅館ホテル』のおもてなし」が星雲社から発売中。問い合わせは同社TEL03(3868)3275。