【旅館ホテルのおもてなし 41】車椅子のお客さま3 大谷 晃


 ●チェックイン

 カウンターは通常、健常者用に作られています。そのためフロント係はどうしても目線が同じ介助者に話しかけがちです。その間、車椅子の方は疎外感を味わい、良い気持ちがしないものです。

 低いテーブルがあれば、そこで手続きをしていただき、それもない場合は客室に入ったあと記入していただくのも一つの方法です。

 ●お部屋でのサポート

 和室では、車椅子を室内で使うことができません。そのためお客さまの体をサポートしてお部屋に入っていただくことが必要です。 その場合、2人以上で行います。まず、お客さまに前で軽く手を組んでいただき、1人がお客さまの背後から脇の下に手を入れ、両手首をそれぞれしっかりつかみます。もう1人は足を抱えます。2人が呼吸を合わせてお客さまを静かに持ち上げ、中へお運びします。

 ●浴場でのサポート

 脱衣場、洗い場、浴槽の間を移動する場合が、介助サポートが必要です。介助者1人で無理なときは同性のスタッフがお手伝いします。その際、入浴用の車椅子や介護用のシャワーチェアの貸し出しができれば喜ばれます。風呂の椅子に座るのが困難なお客さまに対しては、洗い場の床にスポンジマットを敷くのも一つの方法です。

 大浴場での入浴が困難な方には、家族風呂をお勧めしたり、あるいは部屋付きのお風呂で入浴をしていただくことを提案します。

 ●お部屋でのサービス

 旅館ホテルは基本的に和室で、ベッドではないのが普通です。ご希望によりますが、車椅子のお客さまが利用しやすい折り畳み式の簡易ベッドを用意するのも一つの方法です。

 ●バイキングスタイルのサービス

 バイキングスタイルのお食事では、車椅子のお客さまはご自分で料理が取りにくいことがあります。お声がけをしてから、お好みの物を取って差し上げましょう。

 ●チェックアウト・お見送り

 基本的には高齢者や他の障害者の方々に対するのと同じです。ゆっくり対応することが大事です。混み合う時間を避けるために、お部屋でチェックアウトをしていただくのも良いでしょう。

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 ■日本ホテルレストラン経営研究所=ホスピタリティ業界(旅館、ホテル、レストラン、ブライダル、観光、介護)の人材育成と国際交流へ貢献することを目的とするNPO法人。同研究所の大谷晃理事長、鈴木はるみ上席研究員が監修する書籍「『旅館ホテル』のおもてなし」が星雲社から発売中。問い合わせは同社TEL03(3868)3275。

 
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