●米
酒造りには、酒造専用の品種が使われます。それが「酒造好適米」です。現在、国内では100種類以上の酒造好適米品種が栽培されています。なかでも「山田錦」「五百万石」「美山錦」「雄町」などが知られます。
酒造好適米が食用米と違うところは、
・食用米より粒が大きい。
・米粒の中心部に、白く不透明な部分の「心白」がある。
・吸水が早い。
などが挙げられます。
●水
米と同様、水も酒造りには欠かせません。「酒どころ」と呼ばれる日本酒の名産地は、良質な米と共に良質な水が豊富です。
日本酒の成分のうち80%は水です。製品に含まれるだけでなく、米を洗ったり、浸したり、蒸したりなどの、あらゆる工程で水が使われます。日本酒の仕上がりを左右するのが水です。
酒造りに適した水とは? それは水の硬度が関係しています。硬度とは水に含まれているカルシウムやマグネシウムなどの成分量を表したもので、それによって水の味わいが違ってきます。一般に硬度が高いのを硬水、低いのを軟水と呼びます。硬度が高い水は酵母の栄養源となるミネラル分が多く含まれるため、酒造りに適しています。しかし、軟水は向かないかというとそうではなく、なめらかで香りの高い吟醸酒を造ることもできます。
最も高い硬度の水が使われると、辛口で味わいのあるタイプの日本酒に、それより少し低いと、口当たりの良い柔らかな味わいの日本酒ができます。さらに硬度の低い水では、淡麗な味わいのある日本酒となります。
●麹(こうじ)
アルコール発酵は酵母という微生物の働きで起こります。酵母が糖分をアルコールに変え、炭酸ガスを発生させます。日本酒の場合、米の中にでんぷんはあっても糖分はありません。そこで麹の働きが重要になります。麹が蒸した米の中のでんぷんを糖に変え、その糖がアルコールになるのです。
* *
■日本ホテルレストラン経営研究所=ホスピタリティ業界(旅館、ホテル、レストラン、ブライダル、観光、介護)の人材育成と国際交流へ貢献することを目的とするNPO法人。同研究所の大谷晃理事長、鈴木はるみ上席研究員が監修する書籍「『旅館ホテル』のおもてなし」が星雲社から発売中。問い合わせは同社TEL03(3868)3275。