【旅館ホテルのおもてなし 60】お茶をおいしく淹れる2 大谷 晃


 ●茶葉の種類

 煎(せん)茶

 湯飲みに湯を注ぎ、上級煎茶で70度、中級煎茶で80~90度にさまします。湯ざましを使ってももちろんかまいません。急須には1人当たり2グラムほどの茶葉を入れておきます。そこにさました湯を注ぎます。高級なもので1分半ほど、普段使いするような茶葉なら1分ほどでおいしくいただけます。

 深蒸し煎茶

 湯飲みに湯を注ぎ、70~80度くらいにさまします。一般の煎茶と違うのは、深蒸し煎茶は加工の段階で長時間蒸されるために茶葉が細かくなっていることです。そこで、浸出時間は短くします。30~40秒で色、味、香り共に適した状態になります。

 玉露(ぎょくろ)

 急須も湯飲みも玉露専用の小ぶりのものを使うのがベストです。まず、湯飲みに湯を入れ、50度ほどにさまします。もちろん湯ざましを使ってもかまいません。急須には1人当たり約3グラムの茶葉を入れておきます。さました湯を急須に入れ、2分ほどかけてゆっくり抽出します。

 抹茶

 茶道の作法にのっとって点(た)てるのが正式ですが、点てたお茶をお客さまにお出しするだけであれば、適量の茶葉に適量のお湯をさし、茶筅(ちゃせん)を使えば、誰でも可能です。まず、茶わんに湯を入れ、温めておきます。その湯を捨てたあとに約2グラムの粉状の抹茶を入れます。そこに湯ざましで70度ほどにさました湯を注ぎます。あとは茶筅を素早く動かして、かたまりができないようにしながら点てます。最後に底に「の」の字を描くようにして茶筅を引き上げます。

 玄米茶・ほうじ茶・番茶

 煎茶より日常使いの気軽なお茶です。大ぶりで厚めの急須や土瓶を使用します。茶葉は1人当たり3グラム。熱湯で淹(い)れるところがほかのお茶と違います。30秒ほど待って湯飲みに注ぎます。

 冷茶

 急須に茶葉を多めに入れ、冷水を注いで5分ほど待ちます。お湯で淹れて氷に注ぐ方法もあります。夏の暑い時期におすすめです。

 ●水との関係

 お茶と水とは切っても切れない関係にあります。

 水には硬水と軟水があり、ヨーロッパなどの水が硬水に対し、日本の水はミネラル分の少ない軟水です。水道水ももちろん軟水です。お茶をおいしくするコツは、水道水の場合、やかんのふたを取って3~4分、沸騰させ続けます。こうしてカルキ臭を飛ばします。また、地域によって水質に鉄分が多かったり、ミネラルウォーターも同様だったりします。この場合は、お茶に含まれるタンニンと鉄分が反応して水色(水の色)も味も悪くなります。

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 ■日本ホテルレストラン経営研究所=ホスピタリティ業界(旅館、ホテル、レストラン、ブライダル、観光、介護)の人材育成と国際交流へ貢献することを目的とするNPO法人。同研究所の大谷晃理事長、鈴木はるみ上席研究員が監修する書籍「『旅館ホテル』のおもてなし」が星雲社から発売中。問い合わせは同社TEL03(3868)3275。 

 
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