古くから日本人に愛飲され、今また健康効果の面などから脚光を浴びている日本茶ですが、ワインにソムリエがいるように、日本茶にもその道のプロがいます。日本茶インストラクター協会が認定する日本茶インストラクターと日本茶アドバイザーがそれです。
●日本茶インストラクター&日本茶アドバイザー
近年、日本茶の世界も大きく変わりました。大きな要因がペットボトルの普及です。キャップを取るだけで気軽に飲める点などが幅広い年齢層に受けています。しかし、奥深い日本茶を味わおうと思ったら、どこか物足りないはずです。本当の味わいを体感することは難しいといえます。
そこで、消費者と茶葉生産者との橋渡しをする役目を担い、伝道者として、お茶の素晴らしさを広める日本茶インストラクターと日本茶アドバイザーが誕生したのです。
日本茶インストラクターや日本茶アドバイザーの役割は、なんといっても日本茶の良さを広め、啓発することにあります。日本人で日本茶を飲んだことのない人はいないでしょうし、もちろん知らない人もいないでしょう。しかし、あまりに身近にあって、なじみ深いばかりに、本来の素晴らしさに気付かないことがあります。日本茶の伝道師である彼らは、こうした人々に改めて日本茶の魅力を伝えています。
具体的には、まずセミナーやカルチャースクールでのレクチャーです。日本茶のおいしい淹(い)れ方を指導したり、日本茶ができるまでのプロセスを分かりやすく説明したりします。また、ホームパーティを企画したり、日本茶カフェの開店にあたっての企画やプロデュース、専門知識のサポートなども行っています。
●現在の日本茶事情
食文化の多様化が進む現代、日本茶を巡る状況も変化し続けています。急須で淹れる日本茶がある一方で、ペットボトルのお茶も人気です。室内で淹れる日本茶だけでなく、日本茶は自動販売機でも売られています。
そこで、日本茶の未来を見据えて、新たな価値を見いだし、多種多様なおいしさや香りを伝えるために創設されたのが「日本茶AWARD」です。
これは2014年から連続開催されている審査会で、日本茶を飲む消費者や多分野のスペシャリストの視点から、出品された日本茶の個性や魅力を引き出すことを目的にしています。新しい審査法を取り入れて行われ、日本茶のある生活スタイルそのものを提案することで、その多様性と魅力を国内外に発信しようとしています。
主催は、NPO法人日本茶インストラクター協会、日本茶AWARD実行委員会、日本茶審査協議会です。専門審査委員による1次、2次審査の結果選ばれた上位茶の中から、消費者を交えての3次審査によって、日本茶大賞を決定します。
生産・流通・消費者それぞれの視点を取り入れて日本茶の新たな個性を発掘しようとするこの試みは、回を重ねるごとに盛り上がりを見せています。
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■日本ホテルレストラン経営研究所=ホスピタリティ業界(旅館、ホテル、レストラン、ブライダル、観光、介護)の人材育成と国際交流へ貢献することを目的とするNPO法人。同研究所の大谷晃理事長、鈴木はるみ上席研究員が監修する書籍「『旅館ホテル』のおもてなし」が星雲社から発売中。問い合わせは同社TEL03(3868)3275。