さらなる顧客ニーズを追求
東海地方を中心に17軒の旅館・ホテルを運営する海栄RYOKANSグループの風の谷の庵(愛知県額田郡幸田町、渡邉玲緒社長)は13日、約3カ月にわたる改装工事を終え、全9室をリニューアルオープンした。2005年の開業以来、森の中にたたずむ大人の隠れ家として評判を呼ぶ同館。さらに快適なサービスを提供するため、バレルサウナやシャワールームの導入など、顧客ニーズを満たした客室へと生まれ変わった。
渡邉玲緒社長
JR蒲郡駅から車で約20分、三河湾スカイラインを登った山頂380メートルの森の中にたたずむ同館。駅からは送迎バスが利用できる。宿からは町の夜景が見下ろせ、夕日や星を眺めながら名古屋まで広がる絶景が楽しめる。23年6月に東海地方を襲った台風2号による被害を受けたものの、現在は周辺道路を除きほぼ復旧。普段は記念日に利用する客が多いが、リニューアルオープンを聞きつけたリピーター客からの予約も増えている。
今回、10室あった客室を全て改装し、離れタイプの9室に生まれ変わった。開業20周年を来年に控え、時代とともに移り行くトレンドやニーズを考慮し「良さは残しつつも、お客さまの声を取り入れながらさらに快適な客室作りを目指しました」と同館。
目玉は、バレルサウナ付きメゾネットタイプの客室「山吹(やまぶき)」。計117平方メートルの広々とした部屋で、2階のベッドルームが分かれているため、2家族利用(定員5人)でもプライベートを確保できる。客室の外に設置したバレルサウナは室内の熱を均一に保つ効果があるため、サウナ効果を最大限に引き出す。横には水風呂、休憩スペースを設置。森の大自然のマイナスイオンを感じながらサウナを満喫、春には夜桜も楽しめる。
樽型のバレルサウナ
客室内は利用客からの要望が多かった浴室周りを中心に改装した。全客室に設置された天然温泉の露天風呂は、屋根や仕切りを設けて雨風をしのげる仕様に。また、脱衣所からシャワールームまで床暖房を導入し、入浴前後も温かさを保つ導線を確保している。内風呂は以前まで猫足タイプのバスタブだったが、「またぎづらい」という利用客の声を踏まえ、シャワールームに改装した。
蒲郡の天然温泉を使用した客室露天風呂
寝具は地元企業のエアウィーヴ社の製品を採用。渡邉社長自らが安眠効果を検証し、導入に至ったという。そのほか、快眠セラピストが監修した安らぎ効果のある桜色のベッドライトやお香を導入するなど、細かいところにも気を配る。
寝具は地元企業のエアウィーヴ社製を導入
以前から評判の高い食事は、蒲郡みかん、地魚、みかわ牛、三河赤鶏など地元の食材をふんだんに使った会席料理。料理長のこだわりが詰まった華やかなラインアップで、心地よい満腹感と満足感を得られる。
一番人気は板前と揚げ場が客室に赴き、目の前で揚げたてを提供するてんぷら。車エビや深海魚の目光など旬の地元食材をシソや湯葉で巻き、ひと手間かけた食材を黄金色の油でさっと揚げる。味はもちろん、揚げる音や香りを五感で楽しめる。
目の前で調理するてんぷらが人気
宿泊料金は1泊2食付きで4万1800円から(税込み)。メゾネットタイプ(1室)のほか、ダイニングタイプ(3室)、いろりタイプ(3室)、ホームシアタータイプ(2室)など、多様なニーズに応じた客室がそろう。リニューアルから間もないが、居心地の良さとスタッフのきめ細やかな気配りに心引かれ、「その場で次の予約を取って帰られる方もいらっしゃいます」とスタッフ。
リニューアルを機に、華道や茶道などの日本文化を体験できる新プログラムも開始し、趣向を凝らしたサービスで利用客をもてなす同館。海栄RYOKANSグループがテーマに掲げる「記念日の宿」としての利用はもちろん、日常から離れ、森の自然と調和しながら特別なひとときを過ごすリトリートの場としてもおすすめしたい。
風の谷の庵