【旅館経営ワンポイント講座 36】最近取り組んだ三つの再生事案 渡辺清一朗


 最近取り組んだ事例を3件紹介したい。

 (1)地方温泉地の中規模旅館の例

 売り上げ2億円、償却前営業利益トントン。

 業務改善を行えば償却前営業利益20百万円程度までの回復余地は十分あると考え現地視察を行った。

 事前に口頭で債務は50百万円程度と聞いていたが、それは銀行債務の話。社会保険料、固定資産税、消費税などの滞納が1億円以上あることが判明した。

 私的整理や法的整理を行うとしても社会保険料や租税の滞納は大きな足かせになることは明白。現状の事業価値はなかなか見いだしづらい状況。土地の価値はある程度あるものの、建物が旧耐震構造のためほとんど価値が見いだせないことが判明した。

 債務者の痛みを伴わない形でスポンサーが見つかるとは考えにくく、再生事案に精通した弁護士を招聘し希望を見いだすことを提案したが、債務者の覚悟がなかなか伴わず、徐々に疲弊する日々が続いている。

 (2)地方主要都市の小規模ホテル

 売り上げ180百万円、償却前営業利益ややマイナス。

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