小欄も、おかげさまで200回を迎えた。拙い文章を掲載いただいている観光経済新聞社様と、お読みくださっている方々に感謝申し上げたい。
さて、「収益性の確保―損益分岐点を引き下げる」のテーマのもと、前回は高収益化の起点となる高料金化政策について述べた。
「価格設定は経営そのもの」であり、価格だけを他と無関係に独り歩きさせるわけにはいかない。目指す収益体質から「あるべき価格」を思い描いて、それにふさわしい商品像をつくり上げていく、といった考え方をしていく必要がある。
(4)高料金化を目指す戦略方向
その「あるべき価格」を高料金化に置くとして、ではどのようにしてそれを実現していくべきか…ここでは商品以外のことも視野に入れながら、いくつかの戦略方向を掲げたい。
(ⅰ)品質重視経営
品質に関しては、小欄〈160〉~〈170〉においてすでに述べているので詳しいことは省くが、その中から一つだけ振り返ると―「品質の確保」は一般に、商売の必要条件であって十分条件ではないが、望ましい収益体質を目指すなら、高品質は確保されるべき普遍的なテーマ。
しかし品質を高める意義はそれだけではなく、旅館商売では、「品質重視経営」が立派な戦略として成り立つ―と、このようなことを述べた。
平たく言えば、「品質重視だって高収益化につながる戦略になりますよ」ということだ。「高収益化↓高料金化」と読み替えても同じことが言える。
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