米国からの訪日客数が非常に好調である。2023年3月から7月までの4カ月間は連続で2019年同月を上回っている。その結果、2023年1月から7月までの合計では、2019年の同期間比で13.5%の増加となっている。全世界からの訪日客数は2019年の6割程度にとどまっていること、また、2019年を上回っている重点市場国は米国を合わせても5カ国であることから、他国・地域と比較しても米国の好調さが分かる。
好調の要因はいくつか挙げられる。まず、米国経済の底堅さがある。コロナ後の経済回復に伴う急激かつ強烈なインフレを抑え込むため、2022年3月以降11回の利上げが行われていることから経済は鈍化傾向にあるものの、失業率は低く、また、消費は堅調さを保っている。この底堅い経済を背景に米国人の海外旅行需要自体が順調に伸びている。米国国際貿易局の発表によると、米国からの海外旅行者数は2023年1月以降、各月で2019年同月比を上回っており、2023年7月の旅行者数は対2019年比約1割増となっている。また、日米間の航空便数についても、ハワイ、グアム、サイパン路線を除くと、2023年夏ダイヤは2019年夏ダイヤと同水準まで回復している。
他方、コロナ禍前、アジアの中で米国からの訪問者数が最も多かった中国については、6月に米国政府が不当拘束の恐れを理由に渡航の再考を勧告するなど、米国人が中国に気軽に渡航する状況にはなっていない。こうした状況もあり、米国―中国間の直行便はコロナ前の1割にとどまっている。
会員向け記事です。