マレーシアはマレー系、中華系、インド系などさまざまな民族が暮らす多民族国家である。その中ではマレー系の人口が最も厚く、全体の60%を占めており、大多数はムスリムである。訪日マレーシア人数の民族別割合でみると、全体の50~60%は中華系が占めており、マレー系の割合は比較的少ない状況であるが、近年、旅行博における一般消費者向けアンケートや旅行会社へのヒアリングによるとその割合は徐々に増えている。今後さらなる訪日者数の回復や底上げを図るためにはムスリムであるマレー系の誘客も重要な要素の一つだ。
食事やお祈り場所等、受け入れにあたっての配慮という側面で、国内におけるムスリム向け対応の遅れを懸念する声を聞くことがある。しかし、当所で2022年に実施したマレーシアのムスリム一般消費者向けアンケートによると、回答数約400件のうち、53%は訪日経験があり、「日本のムスリム対応についてどのような印象があるか」という問いに対しては95%近くの回答者が日本の受け入れ環境に対して前向きな印象を持っている結果となった。実際に、「グローバルムスリムトラベル指数(GMTI)2023」において、日本はイスラム協力機構非加盟国ランキングで6位に選ばれている。
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