「食・映え・買い物」中心に訴求
「訪日旅行が高額という認識は過去のものになりつつある」。今年2月にフィリピン旅行業協会が開催した記者会見において、パトリア・チョン副会長はそのような見方を示した。背景には昨今の円安に加え、(1)格安航空会社(LCC)の就航等による旅行の選択肢の増加(2)フィリピン人の所得向上―という二つの要因がある。
1点目について、昨年7月に日本航空傘下のLCCであるZIPAIRがマニラ―成田便を新規就航する等、コロナ禍後の日比間の直行便数は回復傾向にあり、それらを活用したさまざまな価格帯の訪日旅行商品も販売されている。また、日本は食や宿泊施設の選択肢が豊富であり、好きな物にはお金をかけるが、他の旅行予算は節約したいというフィリピン人にとって、自分好みのプランを組みやすい旅行先となっている。
2点目に、高い経済成長率に支えられ、フィリピン人の所得は年々増加している。2013~2023年の10年間で、フィリピンの1人当たりGDPは30%以上増加した。平均年齢が約26歳と若く、労働人口の豊富な同国においては、右肩上がりの経済成長が当分続くと見られ、IMF、アジア開発銀行、世界銀行、ASEAN+3マクロ経済調査事務局の4機関が発表した2024年と2025年の実質GDP成長予測によると、東南アジアの中ではフィリピンの成長予測が平均6・1%と最も高かった。
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