外国人客を11月から受入れ
2021年の4月末から新型コロナウイルス「第4波」が襲来し、これまで台湾と並び新型コロナウイルス封じ込めの優等生として称されてきたベトナムにおいても、1日当たりの感染者数が1万人を超える日々が続いた。
事態を深刻に受けとめたベトナム政府は、ベトナム三大都市であるハノイ、ダナン、ホーチミンをはじめとするベトナム全土で厳格な社会隔離措置(ベトナム式ロックダウン)を実施するとともに、「2022年3月末までに全人口70%の集団免疫獲得」を目標に大規模ワクチン接種キャンペーンを開始。日本を含む友好国からの無償提供やワクチン基金などでの購入によるワクチン確保を通じた接種を推し進めた結果、5月末時点で全人口の1%程度であった接種率は、10月31日現在57%まで(接種完了率は24%)上昇した。
ワクチン接種率の上昇に伴い、感染状況は徐々に落ち着きを見せ始めたとともに、ベトナム国内においては、感染防止策などを取りつつ一部の観光を再開する「ウィズコロナ」対策へとかじを切り始めている。
具体的には、比較的感染が沈静化しているダナンでは10月中旬から市内観光が再開されており、また1日当たりの新規感染者数が千人台で推移しているホーチミンにおいても、11月から市・省をまたぐ国内観光が再開される予定となっている。また、第4波の影響で停止となっていた国内線についても10月22日から多くの路線で運航が再開したが、当初必要であった誓約書の提出が今ではワクチン接種証明書もしくはPCR陰性証明書のいずれかがあれば、アプリの申告のみで搭乗が可能となるなど、利用者の利便性を考慮したオペレーションへと変わりつつある。
海外旅行についても、ベトナム政府は次の3段階に分けて徐々に受け入れを進めていくとしている。第1段階は21年の11月から、ベトナム有数の観光地であるフーコック島の一部地域において、対象国を限定した形でワクチンパスポートを保持する外国人観光客の受け入れを開始する。第2段階は22年1月から、受け入れ地域を拡大しつつ、同じく対象国を限定してワクチンパスポート保持者を受け入れる。第3段階では、原則国を限定せず旅行者がワクチンパスポートを保持していれば受け入れるとしており、実施時期については第1段階、第2段階の受け入れ状況を見つつ判断するとしている。
JNTOハノイ事務所では来たる訪日旅行再開に備え、ベトナム人消費者の訪日意欲醸成を目的とした参加型オンラインキャンペーンや、現地旅行会社を対象としたウェビナーなどのプロモーションを活発に行っている。また、23年には日越50周年を迎えることから各所で関連イベント実施の機運が高まっており、JNTOハノイ事務所としてもこの節目となる年に向けて積極的な訪日プロモーションを継続していく予定。
ワクチン接種会場で待機するハノイの人々