コロナ後も訪日意欲衰えず
オミクロン株の感染拡大を受けても、マレーシアは厳しい活動制限令下にあった2021年前半と比較すると、社会的な緊張はそれほど高まっていない。ワクチンのブースター接種も政府主導で迅速に進み、22年3月9日時点で全人口の46.4%が接種済みである。
水際対策についても、マレーシアのイスマイル・サブリ首相は22年3月8日、新型コロナウイルスの新規感染者数は増加しているものの、中等症・重症患者数は抑えられているとして、4月1日からエンデミック(日常的に流行する感染症)への移行段階に入ると宣言。これに伴い、新型コロナに関連する入国後の隔離措置もワクチン接種を条件に撤廃し、「国境を開放する」ことを発表した。4月以降は観光目的の入国も認められる。
新型コロナのパンデミックからの出口戦略に沿って一歩ずつ前向きに動き始めた21年11月、マレーシア最大の旅行博「MATTA Fair」がクアラルンプールにて開催された。対面開催は19年9月開催以来約2年ぶりとなり、政府の感染対策ガイドライン順守のもと、会場規模は例年より縮小され、入場者数も制限されたにもかかわらず、会場入り口に行列ができるほど大盛況であった。
当所も、例年と比較して小規模ではあるが出展し、多くの方が日本ブースを訪れた。今回、ブースバックパネルの日本地図上に、来場者が過去に訪問した場所や次回訪問したい場所にシールを貼ってもらうイベントを実施したところ、「日本が恋しい」などといった日本へのメッセージも多数寄せられ、コロナ禍前に日本行きの旅行を予約していたが、行けなくなってしまった方、海外旅行に行けるようになったら一刻も早く日本に行きたい方、何度も日本に訪れていてその際の思い出を楽しそうに語ってくれた方が多くいた。
ブース来場者向けアンケートでは、「アフターコロナにおける次の海外旅行先」として「日本」と回答した方が92.2%と最も高く、依然として訪日に対するポジティブな目線は変わっていない。また、感染拡大以降、旅行者の需要にも変化が生じているが、「日本食、四季」など訪日で期待するコンテンツは変わらない。今後はコロナ対策全般の取り組みも重要視しつつ、従来の観光・アクセスなどの定番情報に加え、地域がポストコロナを見据え造成・磨き上げたコンテンツや魅力を訴求する必要がある。
感染拡大から2年を経た中でも、一般消費者の訪日意欲、旅行業界の販売意欲は共に衰えることなく、コロナ禍でその重要性やニーズが改めて高まり、多くのマレーシア人は笑顔で日本へ旅行できる日を待ち望んでいる。こうした人々の気持ちに応えるためにも、ウィズ・アフターコロナの消費者心理をつかみ、変わらない日本の魅力と強みを発信し、海外旅行再開時における最優先デスティネーションとしての地位を維持・確保するためのプロモーションを展開していきたい。