慣習としての贈答品の魅力が少なくなってきていると感じています。茶業界だけに限ったことではないのかもしれません。百貨店の菓子売り場を見ても、箱入りではない、小口の菓子をしゃれた袋入りにし、低価格帯で販売しています。いわゆる「プチギフト」が人気のようです。お茶屋が提案できるちょっとした、でもしゃれた贈り物とは?
このテーマに関しては、お茶屋より包材メーカーの考えの方が先を行っているようです。「茶業界という畑に、種をまき続ける」と、さまざまな工夫を凝らした提案をするメーカーさんもあります。心強いことと感謝しています。
「商品を包む包材は花嫁衣装である。思いを込めた大切な物を包むのだから」との話を講演で聞き、印象に残っていますが、中身がお茶となると難しい、と思うのは頭が固いからでしょうか。若い世代の感性に訴えることも重要だとは、「分かっちゃいるけど」なんとも悩ましい。いくつか試みるも、今一つの反応。さて次の手をどうしたものか。既に早くから少量販売に取り組んでいるところもあるようですが、これからも試行錯誤を繰り返しながら、地道に進んでいくしか方法はないと思っています。
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「ご家庭の棚に眠っているお気に召さないお茶も、手間をかけて育て、作ったお茶です。どうぞ、お持ち下さい。焙じ茶、玄米茶に加工してお戻しします」と、呼び掛けを始めて30年以上はたつでしょうか。
「いただき物のお茶がやっとなくなって、いつものお茶が飲めるわ」「好みでないお茶がたくさんたまって、どうしましょう」との声をたびたび聞くようになった頃、「お茶のリサイクル」が販売会議で提案されました。それほど多くの持ち込みがあるわけではありませんが、お茶通の方へは贈り物のお茶が集まるらしく、ご利用回数が多い方もいらっしゃいます。
「まずいお茶にいつものお茶、混ぜてもいいかしら」との問いかけには、「それだけはおやめ下さい。下のお茶に味が引っ張られてしまいます」とお答えします。
お茶は飲む以外に、「冷蔵庫、戸棚、靴箱、トイレの消臭」にも利用できます。小皿に盛る、薄紙に包むなどしたお茶を置くだけで、消臭効果を発揮します。お茶は臭いと湿気を吸収しやすいのです。古くなり、傷んだお茶でも効果はあります。
また、ガーゼや伝線したストッキングに茶の葉を入れ、入浴剤としての利用もできます。ほのかにお茶の香りが漂い、肌も潤い、「ハーブ風呂」ともいえそうです。ただし、浴槽に茶渋がつきやすいので、残り湯は早めに流すようにして下さい。
皮膚病やとこずれの予防に、お茶風呂を活用している病院もあるくらいですから、お茶の利用範囲はかなり広いといえます。