数ある外資系ホテルでの日本茶によるサービスをひとくくりにするのは、危険であり失礼なことと承知の上での記述です。
ホスピタリティの追求とサービスの高さで有名な某ホテル。50歳代の記念にと、幼なじみの誘いを受け、人生一度きりのエステを受けに行ったホテル。隅々にまで漂う高級感に驚きさえ覚えた懐かしい思い出があります。
以前、最上レベルのホテルマンであり、このホテルの日本支社長をなさった方の素晴らしい講演を聴いたこともあり、どのようなサービスがなされているのか、緊張しながらもワクワクした気持ちで、ロビーラウンジに向かいました。
お茶をいただきたい旨をお伝えすると、案内された席はグランドピアノのそば。ちょうど演奏が始まる頃でした。
メニューを開くと、たくさんの品種の紅茶が記載されていて、「宇治、やぶきた」の1行をやっと見つけ、オーダーしました。「日本茶は常時置いていないのかしら、別のフロアーまで探しに行っているのかしら」と思うほどに時がたちましたが、心地良いピアノの調べに、待ち時間は苦痛ではありません。高い天井、豪華な設えを眺めながら待ちました。
茶托と中白(なかじろ)で飲み口の薄い茶碗が置かれ、期待は高まります。中白とは、お茶の水色(すいしょく)を楽しめるように内側が白い茶碗のことです。100ミリリットルほどのお茶を入れるのに適した大きさでしょうか。そこに、800ミリリットルぐらいはあろうかと思われる紅茶用のポットから、日本茶が注がれました。中身はたっぷりあるようで、当然注ぎ切ることなく、離れた壁際の保温器(多分)の上に置かれました。