新型コロナウイルスのパンデミックが続いているが、地震や火山噴火などの自然災害は時を選ばない。
「被災地に観光の視点を導入することが復興を促し、災害回復力として重要な役割を果たす」「観光の導入が次の災害に向けた『備え』(災害抵抗力)につながるのではないか」。
同書はこうした問題意識を共有する橋本氏(立教大学観光学部教授、編集責任者)、室崎氏(兵庫県立大学減災復興政策研究科教授)ら研究者が、それぞれの視点から分析、考察を展開した共同研究の成果。
「災害からの復興の推進力として三つのエンジン(精神的エンジン、教育的エンジン、経済的エンジン)があり、それぞれに観光が重要な役割を果たす」。
このような考えを基本に、各地における復興への取り組みや成果、災害に強い観光地になるために何をすべきかを解説している。
災害の実被害とともに近年取り沙汰される風評被害について、いかに軽減するかを考察した項目も興味深い。
定価2千円+税。
発行=創成社TEL03(3868)3867。