【焦点2021】ウィズコロナ時代の宿泊業 編集部 森田 淳


地道な対策で感染防止に努めよ

 新型コロナの感染拡大が続く中、宿泊業も”ウィズコロナ時代”の顧客対応を余儀なくされている。

 全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)、日本旅館協会、全日本シティホテル連盟の宿泊3団体は、「宿泊施設における新型コロナウイルス対応ガイドライン」を昨年5月14日に策定。宿泊施設が行うべき具体的な感染防止対策をまとめている。

 留意すべき基本原則として、人と人との距離の確保、手指や施設の消毒、入館者のマスク着用、施設の換気、従業員の毎日の体温測定と健康チェック―を挙げるほか、送迎時、入館時、客室、大浴場、食事会場と、シーンやエリアごとに特に留意すべき事項を示している。

 全旅連は、このガイドラインをもとに、コロナ対策を分かりやすく解説した「旅館ホテルにおける新型コロナウイルス感染防止対策マニュアル」も昨年11月に作成。全国約1万5千軒の組合員施設に配布した。

 施設の感染対策について、例えば客室の清掃時は、ドアノブ、リモコン、テーブル、椅子などを、次亜塩素酸ナトリウムやアルコールを使って清拭消毒するというが、「単に表面をサッと拭くだけではなく、手がどの部分に触れるのか、どこに汚れがたまりやすいのかを意識して拭きましょう」と、作業の細かいポイントも述べている。マニュアルは全旅連の公式ホームページからもダウンロードできる。宿泊施設は有効に活用したい。

 これら宿泊施設向けのガイドラインやマニュアルに加え、施設を利用する旅行者に向けた「新しい旅のエチケット」も旅行関係の業界団体による「旅行連絡会」がまとめた。「人前で、マスク着用、エチケット」「手洗いと手指消毒で、安心ステイ」と、旅行者が守るべき感染防止対策を標語風にまとめたものだ。宿泊業界は自らの対策とともに、旅行者に向けたこれら対策の啓蒙(けいもう)も必要だ。

 Go Toトラベルキャンペーン利用者延べ4千万人以上のうち、新型コロナの陽性が確認されたのは約200人。宿泊施設がクラスターの発生源になったとの話もほとんど聞かない。各施設が感染対策に真摯(しんし)に取り組んでいる証しだ。

 しばらくは付き合わなければならないだろう新型コロナ。宿泊施設は今後も地道な対策で感染防止に努めていくしかない。行政にもこれら施設への手厚い補助が求められる。

 
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