観光情報の発信や物産販売、旅の休憩場所と、その機能が多岐にわたる「道の駅」。近年は施設自体が旅の目的地になったり、防災機能を装備するなどその存在感は一層増している。国土交通省に申請、登録された全国1209カ所の道の駅(2023年8月現在)から、個性的で「令和元年度重点『道の駅』」にも選定された6カ所を紹介する。
南ふらの(北海道南富良野町)
国道38号線沿いに位置。町内のかなやま湖や空知川でカヌー遊びが盛んなことから、外観をカヌーの軸先をイメージしたユニークなデザインとした。エントランスロビーに川、湖に生息するイトウなどの淡水魚が泳ぐ大型水槽。北海道産男爵馬鈴薯を原料とした「バタじゃが」など、地元産の農産物を加工、販売する。隣接地に複合商業施設が2022年オープン。道の駅も24年度に改修の計画がある。
おながわ(宮城県女川町)
東日本大震災による津波で大きな被害を受けた宮城県女川町。その復興のシンボルとしてJR女川駅前に開設された。テナント型商業施設「シーパルピア女川」、観光物産施設「地元市場ハマテラス」、交流施設「女川町まちなか交流館」、観光案内所「女川町たびの情報館ぷらっと」で構成。2021年に道の駅として登録された。観光物産施設では海のまち女川ならではの新鮮な魚介類を販売する。
かさま(茨城県笠間市)
国道355号沿いに2021年開業。名産の栗を使ったスイーツを味わえるカフェや、地元の食材を使った料理を味わえる飲食店、新鮮な農産物、土産品がそろう直売所など、設備が充実している。食器は地元名産の笠間焼を使用。カフェで提供するスイーツとドリンクは地元農業公社の自社農園で作った栗を使う。茨城県は栗の栽培面積、収穫量とも全国一で、笠間市はその代表的な産地。
若狭美浜はまびより(福井県美浜町)
「美浜町の観光の玄関口」「地元のにぎわいの中心」をコンセプトに2023年6月、JR美浜駅前にオープンした。農水産品と土産品のショップ、地元の食材を使ったレストランやカフェ、地元の銘酒「早瀬浦」など上質な酒を楽しめる本格オーセンティックバーを備える。コワーキング&イベントスペースも装備。新幹線が今春延伸開業する敦賀に近く、さらなるにぎわいが期待される。
いたの(徳島県板野町)
2021年4月、四国で88カ所目の道の駅としてオープン。春にんじんをはじめとする特産品の直売所、レストラン、農業支援研修室、地域情報コーナーのほか、足湯、ドッグランなどを装備。大規模災害に備えるため、構内にヘリポート、耐震性貯水槽、避難所兼備蓄倉庫も併設する。EV急速充電器や、移動式水素ステーションも備える「次世代エネルギーを備える道の駅」。
都城NiQLL(宮崎県都城市)
国道10号沿いの都城インター近く。2023年4月にリニューアルオープンした。「『日本一の肉と焼酎のふるさと』の魅力で地域活性化を推進する拠点」として、地場の農畜産品を生かした料理を提供。精肉や市内4カ所の酒蔵の焼酎、伝統工芸品も販売する。非常用電源、備蓄倉庫、マンホールトイレなど、防災機能も装備。「NiQLL(ニクル)」は「肉る(肉を楽しむ)」「○○に来る(買いに来る、食べに来る)」などの意味を持つ。