8月10日、中国の団体旅行と一部の旅行商品が解禁となり、中国からの旅行需要が増えた矢先に原発処理水の海洋放出で、中国からの予約も不安な状況になった。
宿泊業界の人手不足問題は深刻で、需要はあるが、提供数を絞らないと営業できない。コロナ前とは大きく環境が変わったかと思う。
日本経済全体では、訪日外国人の需要は経済成長のけん引役として期待されていて、量を追い求めているが、人手不足で提供数が限られるなら、「量より質」に切り替えざるを得ない。
コロナ後、日本に旅行へ来る外国人は何を求めているのか? 日本政策投資銀行と公益財団法人日本交通公社の共同調査によるレポート「DBJ JTBF アジア・欧米豪 訪日外国人旅行者の意向調査 2022年度版」に網羅的に分かりやすくまとめられている。
コロナ前は、日本食を食べることが訪問目的の1位のようだった。日本食の中でも何を食べたいのかと質問すると、「ラーメン」という回答だった。ニューヨークではラーメン1杯25ドル前後なので、日本に来て食べる本場のラーメンは1杯千円の場合、6.9ドル(1ドル145円換算)。激安でおいしいラーメンが食べられたらコスパは最強だ。京都に滞在している訪日外国人には、インスタグラム(Instagram)で#ramenと検索し、好みのラーメンを見つけると食べに行き、気に入ると毎日リピートする、ということもあるようだ。
今後の取り組みとしては、日本独自の体験、日本だからこそ提供できる良いものを訪日外国人のインサイト(人を動かす隠れた心理)を掘り当てて、適切な値段(高い価格)で提供する。マーケティング戦略の基本だが、訪日外国人の集客について改めて、誰に(Who)、何を(What)、どうやって(How)、いくらで(How much)と考えていただき、人手不足の中でも対応可能な方法を決めることをお勧めする。
(コレリーアンドアトラクト代表取締役)