前回のコラムを読んでくださった知人に、「たらスパ食べたくなっちゃったよ! でも、パスタは太るからなぁ」と言われた。イマドキ糖質オフだの糖質制限だのという商品があふれ、糖質ゼロのビールまで登場する中、糖質の多い炭水化物は悪者扱い。でも糖尿病の敵だし、おデブの素だから、嫌われても仕方ない。
糖質を取らないダイエット法があるが、実は筆者も体験済み。もう10年以上前のことだ。当時は低糖質の商品が充実しておらず、かなりの苦行だった。今ではコンビニで低糖質のパンも買えるし、ホームベーカリーで糖質オフパンが焼ける機種まである。低糖質の麺類も、随分おいしくなった。あの頃、販売されていた低糖質パスタはボソボソで、とても食べられたもんじゃなかった。前世はイタリア人だったんじゃないかと思うくらい大のパスタ好きの筆者にとって、パスタを食べられないのが一番イタかった。パスタは炭水化物の代表選手、食べたら太るに決まっている。
…と、思い込んでいた。ところが、国産パスタの品質向上と普及拡大を目的とする、一般社団法人日本パスタ協会によれば、パスタは太らないどころか、理想のダイエット食材だというのだ。ホンマかいな?
太るメカニズムはこうだ。食事をして糖質が体内に入ると、消化されブドウ糖となり血液中に入る。この濃度、つまり血糖値が上がると膵臓(すいぞう)からインスリンが分泌され、インスリンが各細胞に糖を送り込むのだが、必要以上に摂取した糖は、脂肪細胞に運ばれ蓄積してしまうのだ。おデブまっしぐらというワケ。
要するに、問題なのは糖質が含まれているかどうかではなく、血糖値が上昇しやすいかどうかだという考え方がある。これがGI値(グリセミック・インデックス)と呼ばれるもので、食品を食べたときの、血糖値の上がりやすさの指数である。「低GI食品」なら、食べてもあまり血糖値が上がらず、結果として太らないというこの理論、じゃあ、一体どんな食べ物が低GIなんだろう? 特に、炭水化物の多い主食はどうなのかが、気になるところ。
分かりやすいのは「白より茶」だ。同じご飯でも精白米のGI値88(以下、数値はいずれもおおよその参考値)に対して、玄米は55。低GI食品は55以下とされているので、玄米なら合格だ。同様に、フランスパンのGI値は95、食パンは75だが、ライ麦パンは58、全粒粉パンなら50しかない。精白していない、茶色の食べ物の方が低GIなのだ。
麺類だと、うどんが85、そばが54、中華麺は意外にも50~60と低GI。肝心のパスタはというと、種類にもよるが、デュラムセモリナ粉の乾燥スパゲティで41とされる(日本パスタ協会HP参照)。硬質なデュラム小麦を粗びきにしたセモリナ粉は、血糖値を上げにくいようだ。やったぁ! 低GIだ? うれしい♪ 低糖質から低GIに宗旨替えして、大手を振ってパスタを食べるぞ!…っていっても、ほどほどにしなきゃネ。
※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。