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国指定史跡の「小泉八雲旧居」
「耳なし芳一」「雪女」「ろくろ首」など、日本各地に伝わる幽霊や妖怪に関する物語を基にして、さまざまな作品を残した明治時代の作家、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)。2024年は没後120年、代表作『怪談』の出版から120年という節目の年に当たる。また、NHKは25年秋に放送を開始する連続テレビ小説のヒロインのモデルに小泉八雲の妻、小泉セツを選んだことを発表した。2人が出会い、暮らした松江市に注目が集まりそうだ。
小泉八雲は、アイルランド出身の父とギリシャ出身の母の間にギリシャで生まれる。1890年に来日、松江に英語教師として赴任した。その後、熊本五高、東京帝国大学、早稲田大学でも教べんをとった。松江時代に小泉セツと出会い、後に結婚、日本に帰化した。随筆集『知られぬ日本の面影』や小説集『怪談』などの著作を通じて日本の文化や暮らしを世界に紹介した。
松江市には、小泉八雲がセツと過ごした旧松江藩の武家屋敷が現存する。国の指定史跡となっており、「小泉八雲旧居」として公開されている。松江城の濠沿いにあり、濠の向こうに天守閣を望み、八雲が愛した緑豊かな小さな庭園も保存されている。隣接地には、遺品や直筆原稿を展示した小泉八雲記念館が開設されている。
小泉セツは松江藩の士族の娘。八雲が作品化した怪談、奇談の多くは、セツが語って聞かせた民話や昔話が基になっているといわれる。セツがモデルの連続テレビ小説のタイトルは『ばけばけ』。NHKは「怪談を愛し、急速に西洋化が進む明治の日本の中で埋もれてきた名もなき人々の心の物語に光をあて、代弁者として語り紡いだ夫婦の物語をお届けする」としている。
松江市の小泉八雲記念館では、企画展「小泉セツ―ラフカディオ・ハーンの妻として生きて」が6月27日に開幕した。遺品などの展示を通じてセツの生涯を紹介している。会期は来年6月8日まで。
国指定史跡の「小泉八雲旧居」
小泉セツの生涯をテーマにした小泉八雲記念館の企画展のポスター