経営者が気づかない自館の魅力を伸ばす
旅館・ホテルの本業支援、事業再生、事業承継、M&Aを得意とする山田ビジネスコンサルティング。取り組み事例は年々増え、その実績が次の案件相談につながっている。経営改善のポイントを青木康弘・旅館ホテル特任部長に聞いた。
――会社の概要を。
青木 中堅中小企業の本業支援、事業再生、事業承継、M&Aを強みとするコンサルティング会社だ。最近1年間の支援実績は1644件。旅館・ホテル業への支援は、この10年間だけでも通算で400件以上になる。
――セールスポイントは。
青木 全国各地の旅館・ホテルをお手伝いしてきた中で培った本業支援のノウハウと金融機関との良好なネットワークだ。旅館・ホテル業は他館の成功事例をそのまま真似ても上手くいかない。顧客・エージェント基盤やスタッフ能力、ハード設備、資金力などの経営資源の状況、取引銀行からの評価、地域性によって取り組むべき施策や優先順位が変わってくる。
支援する際に重視しているのが、経営者が気づかない自館の魅力やスタッフの潜在能力を伸ばすことだ。客室稼働率40%台だったホテルを大規模投資なしに80%台まで引き上げたケースや、経営者が驚くほどスタッフのスキルややる気が高まって業績改善に結びついたケースがある。設備投資できなくても、売り上げアップにつながる策はいくらでもある。あきらめないことが大切だ。
コンサルティング業務を通じて構築した、全国の金融機関との良好な関係も強みだ。ありがたいことに弊社が作成支援した事業計画やアクションプランは多くの金融機関から評価を頂いている。昨年も、弊社が作成した事業計画によって、多くの旅館・ホテルがDDS(債務の劣後化)などの金融支援を受けることができた。
銀行交渉を円滑に行うためには、事業計画の作成協力を行うコンサルティング会社の信用度は極めて重要だ。弊社が事業計画の作成を手伝い、銀行へ帯同して説明を補助することで、リニューアル投資や新ホテル建設に必要な融資を得られたり、既存借り入れの返済条件が有利になったりすることが多い。
――料金について教えてほしい。
青木 相談や簡易診断は無料なので気軽に問い合わせてほしい。相談後に要望があれば見積書は出すが、契約するかどうかは自由だ。最近では政府の補助金制度も充実してきており、旅館・ホテルの費用負担ゼロで借入金を減らすことや利益改善に成功したケースもある。費用負担をお願いする場合でもできるかぎり負担にならない金額でご支援させていただくのが弊社のモットーだ。補助金利用を希望する場合には所在する都道府県や時期、テーマにより異なるのでまずは問い合わせてほしい。
――どういった形で進めるのか。
青木 最初に行うのが財務診断だ。財政健全化のために必要な金融支援の程度、有効な金融スキーム、利益改善の必要額を明らかにする。必要に応じて金融機関への説明支援や専門資料の作成を行う。
次に行うのが業績改善策の立案と実施だ。旅館・ホテルの業績アップにはコツがあり、経営資源や地域などによって大きく異なる。弊社が業績改善のノウハウを提供させていただき、短期間で利益アップを進める。金融機関などの関係者との調整も同時に進める。
診断を通じて相続税の支払いが高額となるリスクを発見したり、経営者が売却を希望したりする場合には、事業承継やM&Aのテーマでお手伝いすることも可能だ。
――旅館の実情に接して感じることは。
青木 地理的な制約から専門的な情報を得にくく、また経営者仲間にも相談しにくい話なので悩みを抱え込んでしまっている。危機感を持っているにもかかわらず、具体的な解決策を打てずに手遅れになってしまう。悩まずに信用できる専門家に相談することが大切だ。
――旅館・ホテルが元気になるメッセージを。
青木 地方経済において旅館・ホテルは必要不可欠な存在だ。地域の雇用や経済へ多大な貢献をしているのは事実である。旅館・ホテルに元気になってほしいと願う地方銀行の幹部も多い。
観光業の景況感は全国的には改善しているが、一方で、自分たちは出遅れているのではないかと悩む経営者は多い。悲観的にならずにチャンスをぜひ勝ち取ってほしい。