未来志向のニーズに対応するシステムを
新日本コンピュータサービスは、旅館・ホテル専用のコンピューターシステム開発に携わり、39年のキャリアを誇る。同社の基幹システム「フロントシステムVシリーズ」に加え、昨年は新しいシステム「Future V(フューチャーV)」を開発。既存のシステムをさらに進化させた形で、「より使いやすく、機能的なシステム」と、既に多くのユーザーから支持を集めている。同社の伊原成美社長に2017年の方針を聞いた。
――昨年は新しいシステムのフューチャーVが発表された。主な特徴は。
伊原 予約機能で画面がさらに見やすく、操作がしやすくなった。お客さまの予約状況と、客室や宴会場、食事処の空き状況が一つの画面で見られるようになった。お客さまの名前を部屋の場所にドラッグすることで、部屋割りが簡単に行える。今までは予約状況と部屋の空き状況を見比べる時にワンクッション必要だったのだが、それがなくなった。従来のフロントシステムVシリーズも決して操作性は悪くなかったのだが、新しいシステムはそれをさらに進化させた形だ。
――フロントシステムの簡易版、「フロントシステムスマート」のクラウド版も昨年新たに開発した。
伊原 プレチェックイン、フロント会計、顧客管理の各システムを備えているのは従来のフロントシステムスマートと同じ。異なるのはサーバー機が不要なことだ。インターネットに接続できるパソコンがあればいい。
温泉の成分が強く、コンピューターがすぐに故障をしてしまうという、温泉旅館ならではの事情がある。クラウド版は、そのニーズに応えたものだ。自分の施設でデータを管理していると、機械トラブルの際にデータを取り出せなくなる可能性がある。そのリスクを回避できる。
――従来システムと合わせて、ラインアップがさらに充実した。
伊原 従来の基幹システムのフロントシステムVシリーズ、その簡易版で、さらにリーズナブルな価格を実現したフロントシステムスマート。そしてビジネスホテルに特化したフロントシステムBIZがある。
いずれもわれわれが長年培った開発のノウハウを生かしたものだ。さらに、ユーザーの細かい要望に応え、カスタマイズできるようにしている。SE(システムエンジニア)は大変な苦労をしているようだが(笑い)。
――オプションシステムも充実している。
伊原 根強い人気なのはCTIシステムだ。リピーターの顧客から予約の電話があった際に、相手の宿泊履歴をコンピューター画面に表示するものだ。お客さまの情報を知った上で応対するので、電話上で相手に好印象を与えられる。
タブレットを使ったエントリーシステムも人気だ。宴会場や食事処で追加の注文をその場で入力し、間違いのないサービスと精算を行えるものだ。宴会場とフロントの導線が長ければ従業員が行ったり来たりで大変だ。追加注文の料金を付け忘れて請求できない場合もある。そんな難点を解消する。
――使いやすいシステムと定評がある。開発の秘訣は。
伊原 当社は旅館・ホテル専用システムの開発に39年のキャリアを持つ。累計で約3千軒の導入実績を持っている。その蓄積が大きい。
ユーザーの要望を聞き、ユーザーに教えていただきながらここまで来た。ユーザーの声。これはわれわれの財産だ。システム開発、販売、アフターフォローと、全て自社で行う製販一体の体制を構築しており、ユーザーの声を直接、システム開発に反映できる。毎週月曜日に社内会議を開き、ユーザーの声を社員全員で共有している。
――今年、会社は創立40周年。
伊原 旅館・ホテルの皆さまに支えられてきた。皆さまのお役に立つような、何かキャンペーンのようなものを行いたいと考えている。社員一丸で、皆さまに恩返しをしたいと思う。
昨今は人手不足が深刻化して、人の問題でお困りの旅館・ホテルが多い。われわれのシステムを有効活用することで、少しでもその改善につながればと思う。
2月の「国際ホテル・レストラン・ショー」にも出展し、これらの商品をアピールするつもりだ。
これからも未来志向のニーズに対応するシステムづくりに取り組み、旅館・ホテルの皆さまとともに成長していきたい。