2024年の新春を迎え、謹んで新年のごあいさつを申し上げます。
昨年は、宿泊業界にとって本当に長かった苦難のトンネルを抜け出し、観光業界全体で「観光立国・日本」の実現に向けて再び歩みを始める年となりました。コロナ禍の間、われわれを支えてくださった政治、行政をはじめとする関係者の皆さまにはこの場をお借りし、改めて感謝申し上げます。
さて、私は全旅連会長に就任以来、「宿泊産業をわが国の基幹産業に」、そして「宿を核とした地方創生の実現を」ということを繰り返し申し上げてきました。これらはわれわれ宿泊業界が果たさなければいけない社会的責任です。そのためにも、24年は業界をあげて構造改革に取り組むとともに、人手不足、金融問題などの目の前の課題を一つ一つ解決していく所存です。
具体的には、
・宿泊業界は、生産性・収益力の向上を図り、「持続可能な稼げる産業」へと変革を進めていく必要があります。観光庁が創設した「宿泊業の高付加価値化のための経営ガイドライン・登録制度」について、その登録を業界として推進してまいります。
・わが国の地域を「持続可能な地域」にしていくためには、宿泊施設をはじめとする関係者が一体となって地域の高付加価値化を図る必要があります。観光庁の高付加価値化事業も最大限活用しつつ、宿泊業界がリーダーとなって取り組みを推進してまいります。
・人手不足問題に対しては外国人労働者の受け入れが必要不可欠です。観光庁とも連携しつつ、特定技能、技能実習の試験事務を担う一般社団法人宿泊業技能試験センターの取り組みを支援してまいります。
・新型コロナ禍で経営にダメージを受けた宿泊施設の資金繰りについては、政府、金融機関によるきめの細かい支援が必要不可欠です。業界団体として、個々の施設の事情の把握に努めてまいります。
こうした個別課題の解決に取り組む一方、業界全体の地位向上を図る取り組みも推進していかなければなりません。宿文化の中核をなす温泉は、古代より日本に暮らす人々の心身を癒やしてきたものとして、世界中の人々から愛されています。その温泉文化の価値を国内外に広め、観光資源・文化資源としての魅力を高めていくため、今、「温泉文化」のユネスコ無形文化遺産登録に向けた取り組みが進められていますが、宿泊業界としてもその取り組みに全面的に協力してまいります。
また、政・官・民が一丸となって「観光立国・日本」の実現に向けた取り組みを推進していくためには、わが宿泊業界から何としても国会議員を誕生させ、また、観光庁を観光「省」に発展させることが必要不可欠です。今年はそうした機運も高めていけたらと考えております。
私は、宿泊業界には明るい未来が待っていると信じて疑いません。その明るい未来をつかみ取るためには、「一日一日、一つ一つの宿が、お客さまを最高のおもてなしでお迎えし、世界に唯一の宿文化を存分に体験いただき、宿泊した宿を愛し、そしてその地域を愛してもらう」、その積み重ねしかありません。
今年も頑張ってまいりましょう。
年末には、経費扱い(損金算入)できる飲食費の交際費の非課税については、上限額が5千円から1万円へと大幅な引き上げとなりました。精力的に活動いただいた全旅連の関係者部並びに、(特に中心となり活動をいただいた亀岡勇紀専務理事をはじめとした)事務局にこの場をお借りして御礼申し上げます。
最後に、本年が皆さまにとりまして良き年になり、今後ますます皆さまが成長発展いたしますことを祈念いたしまして、24年の新年を迎えるにあたってのあいさつとさせていただきます。