子どもたちは夏休みに入り、今週末からはお盆休みが始まる。いつもなら観光地や海、山などは多くの人でにぎわうが、今年は新型コロナウイルスの影響で様変わり。異例の夏商戦に観光業界も戸惑うばかりだ。
コロナ禍で臨時休校が長引き、多くの学校で学習の遅れを取り戻すために夏休みを短縮、8月1日からようやく夏休みがスタートした学校も多い。
短い夏を思い切り楽しみたい子どもたちの要望に応えようと、親も家族旅行などを計画しているようだが、コロナ禍がブレーキをかけている。
「Go Toトラベル」事業が始まり、1日は夏休みに入って初の週末となったが、観光地の人出はばらつきが出ている。ニュース番組の中で「感染者が全国で増えており、外出をやめた人もいるのではないか」という土産店店主の言葉が印象的だった。
ロコ・パートナーズの「Reluxトラベルラボ」が7月末に発表した「新型コロナウイルス感染拡大における、夏の旅行の意識調査」によると、約半数の人が国内旅行を予定しているが、約4割は「まだ決めていない」と答え、コロナの影響で未定の人が多いことが分かった。
お盆休みに高齢者のいる実家などへの帰省についても、慎重さを求める声が相次いでいる。
西村康稔経済再生相は2日の会見で、お盆期間中の帰省について、高齢者へのコロナ感染リスクを踏まえ「慎重に考えないといけないのではないか」と述べた。愛知県の大村秀章知事は、特に高齢の家族がいる故郷への帰省自粛を呼び掛ける意向を示した。閣僚や首長などからこうした意見が出ると、帰省に二の足を踏む人も出てくるだろう。
コロナウイルスは高温多湿や紫外線に弱く、夏になれば感染は減るのではないかとみられていたが、いまの状況ではそんな感じはしない。このまま拡大が続くと、秋冬に爆発的に増えるのではと思えてならない。経済を止めることなく感染拡大を防ぐことは果たしてできるのだろうか。
菅義偉官房長官は2日のテレビ番組で「Go Toトラベル」事業の継続に意欲を示し、マスクなど感染防止対策を徹底すれば感染リスクは低いと語った。また、観光業が地方経済を支えていることを指摘した上で「倒産が続出する事態を何としても避けたい」と述べ、引き続き支援していく考えを示した。心強い言葉だ。
Go Toに対する国民の受け止め方はさまざまだが、観光業者は感染拡大防止と経済をにらみながら活動を続けていることをぜひとも理解していただきたいものだ。
新型コロナウイルスはまちの風景を大きく変えた。かつてのにぎわいは戻ってくるのだろうか(17年夏、金沢)