【観国之光 371】水際対策の見直し 潮流に乗り遅れるな 本社論説委員 内井高弘


成田空港のPCRセンター。コロナ水際対策の要の一つだ(20年11月撮影)

 新型コロナウイルスの水際対策が長期化し、各方面に深刻な影響が及んでいる。観光業界も例外ではなく、イン・アウトバウンドの回復の遅れは顕著で、関連業種の経営の足かせとなっている。

 日本政府観光局(JNTO)によると、3月の訪日外客数は6万6100人で、コロナ禍前の19年同月比では97.6%減となっている。出国日本人数は7万700人、同96.3%減。1~3月の累計はそれぞれ10万600人、19万2600人で98.8%、96.1%の減少だ。依然として回復の兆しはみえない。

 政府は外国人の新規入国をかたくなに拒んできたが、経済界などの強い要望を受け、今年3月にはビジネス関係者や技能実習生など観光目的以外の新規入国を許可。3月中旬からは1日当たりの入国者数の上限を5千人から7千人に引き上げ、4月にはその上限が7千人から1万人に引き上げられた。

 一連の流れを受け、観光業界では観光目的の入国再開を含めた制限撤廃に期待が高まっている。

 日本観光振興協会など観光関連の12団体・企業は4月14日、自民党観光立国調査会(林幹雄会長)に水際対策の緩和を求める要望書を提出した。

 「ウィズコロナで国際往来を再開している欧米諸国等との差は大きく、国際競争力の低下は否めない」として、(1)観光目的の入国の早期再開(2)入国者数の制限撤廃(3)外務省感染症危険情報レベルの見直し―を求めた。

 要望書によると、観光での入国開始に踏み切ろうとしない国・地域は日本、中国などくらいで、「すでに始まっている世界的な取り込み競争に負けてしまうことになる」と危機感を募らせる。

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