「お・も・て・な・し」―2013年9月、アルゼンチン・ブエノスアイレスで開かれた国際オリンピック委員会総会で、東京五輪を誘致するプレゼンテーションを担当した、フリーアナウンサー滝川クリステルさんのこの言葉が大きな反響を呼んだ。
おもてなしは接客業における日本独自の心掛けとされるが、この発言でおもてなしは日本文化を象徴する言葉の一つとなった。
一説によると、二つの意味があるようで、一つはお客への接遇の意味を持つ「もてなす」という言葉の丁寧語。二つ目は「表裏なし」という言葉が由来となった、区別のない心でお客に接する意味。
一般に使われるおもてなしとは、この二つの意味を組み合わせたものと考えられている。
おもてなしといえば旅館の女将。笑顔と心配りに癒やされる人は多いだろう。
女将はどうやって客の表情を読み取り接客しているのかを、脳科学的に迫った興味深い調査がある。まとめたのは大学共同利用機関法人自然科学研究機構・生理学研究所(愛知県岡崎市)の柿木隆介教授(臨床脳研究)らのチーム。
女将は接客の際のお客の表情を読み取る能力が高いのではないかという仮説を立て、心理学実験と脳波計測をした。
実験には、愛知県蒲郡市の温泉宿の女将たち21人と、今まで接客業に携わったことがない女性19人に協力してもらい、表情を伴う顔を見た際の反応を脳波を用いて計測して比較。また、心理学実験も並行して行った。
門外漢なので、実験の詳細はうまく説明できないが、女将は一般の人よりも相手の表情(特に怒った顔)を速く、そしてより鋭敏かつ正確に判断していることが明らかになった。一方で、「笑い顔にはあまり興味を示されないことも示唆された」とか。
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