残念というか、認識不足もはなはだしいというのか。こういう温泉事業者がいたんだ、というのが率直な感想だ。福岡県筑紫野市の二日市温泉にある老舗旅館「大丸別荘」の出来事は温泉に対する信頼を大きく傷つけてしまった。
テレビなどでさんざん報道され、読者の皆さんも事態の成り行きは承知しているかと思うが、やはり触れざるを得ない。それほどこの問題は大きい。
大丸別荘は1865年創業という歴史を有し、昭和天皇が宿泊したこともある老舗高級旅館だ。客室は40室ほどで、3500坪の庭園も備える。大浴場には48度、湧出量毎分100リットルの温泉を掛け流し、一部を循環ろ過させているという。
県などによると、完全換水を年2回の休館日にしか実施せず、消毒用の塩素注入も日常的に怠っており、必要な濃度が保たれていなかった。基準値の最大3700倍のレジオネラ属菌が検出されという。ずさん極まりない管理体制だったことが明らかになった。
温泉関係者からは「あり得ない話。『掃除をしているのか』という問い合わせも増え、迷惑を被っている」との声も出ている。
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