東京五輪の開催が迫り、いよいよインバウンドビジネス(外国人観光客向けのビジネス)が盛り上がりを見せている。特に、地方にとってはその取り込みは死活問題だ。インバウンドで観光客数・消費額ともに圧倒的なシェアを持つ中国市場。一時の「爆買い」ブームのときより沈静化したものの、やはり訪日中国人の消費は小売店から地方自治体まで、日本全国が狙っているものとなっている。
しかしながら、中国では特殊なネット事情、すなわち政府による検閲などがあり、彼らに情報を発信したくてもままならないケースがある。それを打開しうるのが、中国でのインフルエンサーの存在だ。
インフルエンサーとはSNSなどネット上の人気者を意味する。特に中国では絶大な影響力があり、彼女ら(女性が多い)が影響を与える経済規模は9千億円以上ともいわれる。中国ではインフルエンサーを「KOL(Key Opinion Leader=キーオピニオンリーダー)」と呼ぶケースが多い。その中でも動画インフルエンサーを「網紅(ワンホン)」と呼ぶ。「ネットの人気者」を意味する中国語だ。
彼女らを起用し、日本の観光地や商品のプロモーションをするメリットは大きく三つある。一つは、冒頭で触れた中国ならではの障壁の突破だ。二つめが、彼女らを支持する大量のフォロワーに効率良く認知を広められること。最後に、徹底的な消費者目線だ。彼女らは、自身の人気の維持のためにフォロワーの「ツボ」を熟知している。それを押さえた言葉に変換して情報を発信してくれることで、より効果的なプロモーションができるというわけだ。
特に、現状インバウンドの取り込みに苦戦している地方などは、プロダクト・アウト的な情報発信をしがちだ。そこで、彼女らを活用することでマーケット・インな情報展開が実現できる。インバウンドの目線が地方に向きつつある今だからこそ、活用を検討してみてはいかがだろうか。