日本の大手外食チェーンが海外に進出している。現在では「Izakaya」や「Yakitori」が英語として認知されつつあるほどだ。その中でも居酒屋は、日本独自の文化として外国人観光客からの人気も高い。
日本の居酒屋という形式は、食事とお酒を同時に楽しめること、またその種類が豊富なこと、そして、日本各地の食材・料理が食べられるという特徴がある。特に、欧米諸国などでは「食事」と「飲酒」を区別して楽しむ傾向がある。したがって、居酒屋のように「お酒を飲みながら食事も楽しむ」という食事スタイルが珍しく感じられ、観光コンテンツとして成立しているのだ。
また、日本の居酒屋では当たり前のシステム「飲み放題」も外国人観光客に喜ばれる。海外では食べ放題に近いバイキングやビュッフェ形式の飲食店はあっても、飲み放題という仕組みは存在しない国がほとんどだ。そのため、これも日本独自の文化として楽しみにしている外国人観光客が数多くいる。
一方で不評な居酒屋文化として「お通し」がある。国民生活センターが外国人観光客向けに5カ国語で電話相談を開始したが、お通しに関するトラブルや相談が数多く寄せられているようだ。というのも、お通しという文化を知らない外国人観光客からすれば「勝手に運ばれた料理の代金を請求された」と不信感を抱くポイントになってしまうのだ。
なお、似たような海外文化として欧米圏での「チップ」があるが、チップの場合はサービスの対価として支払うものだ。したがって「無料でサービスされたと思われる小料理」が実は有償である、と感じられてしまうお通しは、言ってしまえば、だまし討ちのようなものだ。
このようなトラブルを防ぐためにも、日本と海外の文化の違いを把握すること、そしてその違いを事前に伝える努力をしていくことが、飲食店のインバウンド対策で求められるだろう。