【調査データ】第3回「AIに関する生活者意識調査」電通調べ


 電通は11月21日、第3回「AIに関する生活者意識調査」の結果を発表した。

株式会社電通(本社:東京都港区、代表取締役 社長執行役員:佐野 傑)は、国内電通グループ横断でAIに関するプロジェクトを推進する「AI MIRAI」のもと、全国15~69歳の男女3000人を対象に、第3回「AIに関する生活者意識調査」(以下「本調査」、調査期間:2024年7月18日~7月22日)を実施しました。

 

本調査は、生活者のAIに関する認知、活用状況、期待・不安、課題などの傾向を把握し、AIへの理解促進や関連ビジネスの成長、ひいては産業の発展に貢献することを目的に行いました。本調査で得られた主なファインディングスは次のとおりです。

 

【主なファインディングス】

AIサービスを使用している人は、3割超(33.4%)。世代別では1519歳が多い。特に1519歳男性が

最も多く、6割弱(58.9%)が使用している。

 

AIに対して不安に感じることは、「AIにより世の中にフェイクニュースや誤情報が増えること」

35.9)、「AIが生成した情報に偽情報が含まれている可能性があること」(31.6)、「AIをうまく

使いこなせる自信がないこと」(28.3)の順に多い。

 

従業員数500人以上の一般企業では、3割弱が生成AIをビジネスで活用。活用検討中まで含めると4割を

超える。

 

一般企業における人手不足対策としてのAI導入意向は、8割超(80.8%)。人手不足対策、コスト対策、ビジネスチャンスのいずれの目的でも前回調査(202311月)より増加。特に、半年以内の導入意向が大きく増加。

 

一般企業におけるAIサービス導入前後に共通した課題は、「運用・導入コストが高い」「社員に対する教育・研修が必要」「知識・技術を備えた専門スタッフが必要」。

 

注)本調査における構成比(%)は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても100%にならない場合があります。

※ 一般企業従事者(経営者、役員、管理職、正社員)に聴取。

 

 

【各ファインディングスの詳細】

AIサービスを使用している人は、3割超(33.4)。世代別では1519歳が多い。特に1519歳男性が最も多く、6割弱(58.9)が使用している。

 

・AIサービスを使用している人(「積極的に使用している」「必要に応じて使用することもある」の合計)は、3割超(33.4%)。【図表1】

・世代別では、AIサービスを使用している人は、男女ともに15~19歳が多い(男性:58.9%、女性:43.6%)。前回調査(2023年11月)から増加したのは、40代女性(7.6ポイント、20.7%→28.3%)、60代男性(5.4ポイント、29.9%→35.3%)の順。減少したのは、15~19歳女性(17.8ポイント、61.4%→43.6%)、30代男性(10.0ポイント、40.9%→30.9%)の順。【図表2】【図表3】

 

【図表1】

Q.あなたのAIサービスの利用頻度として最も当てはまるものを一つお知らせください。

※利用するAIサービスが複数ある方は、その中で最も利用頻度が高いサービスを想定してお考えください。

 

【図表2】

Q.あなたのAIサービスの利用頻度として最も当てはまるものを一つお知らせください。

※利用するAIサービスが複数ある方は、その中で最も利用頻度が高いサービスを想定してお考えください。

 

【図表3】

Q.あなたのAIサービスの利用頻度として最も当てはまるものを一つお知らせください。

※利用するAIサービスが複数ある方は、その中で最も利用頻度が高いサービスを想定してお考えください。

 

 

AIに対して不安に感じることは、「AIにより世の中にフェイクニュースや誤情報が増えること」   (35.9%)、「AIが生成した情報に偽情報が含まれている可能性があること」(31.6%)、「AIをうまく使いこなせる自信がないこと」(28.3%)の順に多い。

 

・AIに対して不安に感じることは、「AIにより世の中にフェイクニュースや誤情報が増えること」(35.9%)、 「AIが生成した情報に偽情報(ディープフェイクなどの画像差し替え)が含まれている可能性があること」(31.6%)、「AIをうまく使いこなせる自信がないこと」(28.3%)の順に多い。また、前回調査(2023年

11月)から増加した項目は、「好きなクリエイター(イラストレーター、ミュージシャン、その他)がAIに模倣され、独自性が薄れてしまうこと」(3.9ポイント、13.2%→17.1%)、「自身が作成した絵・イラスト、文章、音楽などの著作権が侵害される可能性があること」(3.9ポイント、10.8%→14.7%)、「AIにより世の中にフェイクニュースや誤情報が増えること」(3.5ポイント、32.4%→35.9%)の順に多い。【図表4】

 

【図表4】

Q.昨今のAIに関する出来事やニュースを見聞きして、あなたが不安に感じていることについてお伺いいたします。あなたが、AIに対して不安に感じていることを全てお知らせください。(複数回答可)

 

 

従業員数500人以上の一般企業では、3割弱が生成AIをビジネスで活用。活用検討中まで含めると4割を超える。

 

・生成AIを勤め先で活用している一般企業従事者(「全社で活用している」「一部の部署で活用している」の合計)は2割弱(18.7%)で、活用を検討している人(「現在は活用していないが、業務での活用を検討している」)も含めると3割弱(29.4%)。従業員数500~1000人未満の一般企業従事者で生成AIを活用している人は、3割弱(28.7%)、活用を検討している人も含めると4割超(43.6%)。従業員数1000人以上の一般企業従事者で生成AIを活用している人は3割弱(29.7%)、活用を検討している人も含めると4割超(43.5%)であった。【図表5】

 

【図表5】

Q.お勤め先における生成AIの導入について、お勤め先の現在の状況に当てはまるものを一つだけお選びください。

 

 

一般企業における人手不足対策としてのAI導入意向は、8割超(80.8%)。人手不足対策、コスト対策、ビジネスチャンスのいずれの目的でも前回調査(202311月)より増加。特に、半年以内の導入意向が大きく増加。

 

・AIを導入した方がよいと思う一般企業従事者(「今すぐ」から「それより先の時期」までの合計)は、人手不足対策、コスト対策、ビジネスチャンスのいずれの目的についても、前回調査(2023年11月)より増加。「人手不足対策としての導入」では7.0ポイント(73.8%→80.8%)、「コスト対策としての導入」では7.0ポイント(72.2%→79.2%)、「ビジネスチャンスとしての導入」では7.5ポイント(69.0%→76.5%)増加。特に、半年以内にAIを導入した方がよいと思う一般企業従事者(「今すぐ」から「半年以内」までの合計)が前回調査より大きく増加しており、「人手不足対策としての導入」では9.4ポイント(32.2%→41.6%)、「コスト対策としての導入」では10.7ポイント(30.2%→40.9%)、「ビジネスチャンスとしての導入」では11.1ポイント(26.3%→37.4%)増加した。【図表6】

 

【図表6】

Q.今後ビジネスシーンにおいてもAIの利活用が進んでいくとした時に、どのくらいの時期に導入を考えますか。以下の内容について、それぞれあなたの考えに最も近いものを一つお知らせください。※お勤め先の方針ではなく、あなた個人のお考えをお知らせください。

 

 

一般企業におけるAIサービス導入前後に共通した課題は、「運用・導入コストが高い」「社員に対する教育・研修が必要」「知識・技術を備えた専門スタッフが必要」。

 

・一般企業におけるAIサービスを導入した/導入を検討した際に課題になったことの上位5項目は、「運用コストが高い」(14.3%)、「導入コストが高い」(13.6%)、「導入・運用の方法が分からない」(11.6%)、「導入・運用に向け、社員に対する教育・研修が必要となる」(11.2%)、「導入・運用に向け、知識・技術を備えた専門スタッフが必要となる」(10.0%)。また、AIサービスを導入後に課題になったことの上位4項目は、「運用コストが高い」(9.8%)、「導入コストが高い」(9.4%)、「導入・運用に向け、社員に対する教育・研修が必要となる」(7.7%)、「導入・運用に向け、知識・技術を備えた専門スタッフが必要となる」(7.5%)。次いで、「阻害要因・課題はなかった」(7.2%)が多い。【図表7】

 

【図表7】

Q.あなたのお勤め先で、AIサービスを導入した/導入を検討した際に、導入前に課題になったことおよび、導入後に課題となったことはどんなことでしたか。その中でも、特にAI関連サービスであるがゆえに生じた阻害要因として当てはまるものを全てお知らせください。(複数回答可)

 

 

【調査担当者の解説】

今回の調査では、AIサービスを使用している人は3割超で、世代別では40代女性と60代男性が伸びていることが分かりました。2023年に生成AIについて生活者が耳にしたり触ってみたりする機会が増え、2024年は幅広い層に裾野が広がったことがうかがえます。一方で、好奇心旺盛な15~19歳女性や、ビジネスの場でAIが身近になった30代男性では、AIサービスを使用している人が前年より減っていますが、この世代はAIが話題になった2023年にAIサービスを試してみたものの、自身の業務や実生活ですぐに使うイメージが伴わず継続使用はしていないのではないかと推察されます。

また、AIのメリットと同時にデメリット(偽情報やフェイクニュース、権利侵害などへの不安)にも生活者の目が向くようになったと考えられるものの、AIの導入を検討中の一般企業従事者は増加しており、各企業が本腰でAIの導入を検討し始めたと言えそうです。今後この流れは一層進み、AIの恩恵を受ける場面が各所で生まれる一方、AIの使用にまつわるトラブルの増加が危惧され、その対応に必要なルールづくりなどが急がれるのではないでしょうか。

 

【調査概要】

・目   的:生活者のAIに関する認知、活用状況、期待・不安、課題などの傾向を把握し、AIへの理解促進や関連ビジネスの成長、ひいては産業の発展に貢献

・対象エリア:日本全国

・対象者条件:15~69歳の男女

・サンプル数:3000(人口構成比に合わせてウェイトバック集計を実施)

(内訳)

208(15~19歳/性別ごとに回収)

2792(20~69歳/性別・10歳ごとに回収)

・調 査 手 法:インターネット調査

・調 査 期 間:2024年7月18日~7月22日

・調 査 機 関:株式会社電通マクロミルインサイト

 

<AI MIRAIの概要>

2018年設立。最先端のノウハウと社内外ネットワークを結集した、AI特化の国内電通グループ横断プロジェクトチーム。社会や生活者に関する広告会社ならではのインサイト、アイデア、ネットワークを、AIという新しいフィールドに応用。AI・機械学習技術を活用し、マーケティング発想でテクノロジーと社会課題を結びつけるソリューションを展開。

 

 

 
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