【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン 395】成熟化時代の開発リニューアル戦略8 青木康弘


 前回に引き続き、円滑に開発リニューアル融資を得るコツについて紹介しよう。国内の旅館・ホテルマーケットも、成熟化の兆候が見え始めてきており、金融機関も新たな貸し出しに対して慎重になりつつある。しっかりと説明できるよう裏付けを持って融資申し込みをしたい。

 12、想定問答集を作っておく

 金融機関が審査する対象は、旅館・ホテルの過去の実績や開発リニューアル投資を目的とした事業計画書だけではない。経営者の言動も重要な審査対象となる。常にチェックされていることを念頭において、担当者との面談に臨みたい。

 代表者になってから初めての大規模な設備投資に取り組む場合には、想定問答集を作って頭の中をしっかりと整理しておいた方が良いだろう。

 根拠のない曖昧な回答をしてしまうと、稟議書の内容も起承転結のない漠然としたものとなる。審査担当の上席や支店長、本部審査部門から質問や指摘が相次ぐことになり、稟議が可決されにくくなってしまうので注意したい。

 よく聞かれる質問は次の通りである。

 (1)開発リニューアル投資の目的

 老朽化したから更新したいという消極的なものではなく、設備投資を決断するに至った経緯、投資の狙い・目的、長期的なビジョンや経営目標を簡潔に答えられるようにする。

 (2)収支計画、返済計画の内容

 どのような根拠で売り上げ、費用項目の数値を決めたのか、計算ロジックはどうなっているのか明確に答えられるようにする。社内スタッフや外部コンサルタントに丸投げしていると、金融機関の担当者に足元を見透かされてしまう。必ず代表者の言葉として説明できるよう資料を読み込んでおこう。

 (3)借入期間や諸条件

 長めの借入期間を希望すると回答したい。また、取引する金融機関数は、単独か複数か(協調融資含む)方針を決めておきたい。

 (4)他の金融機関への相談状況

 他行から断られていることを正直に伝えるのは賢いやり方ではない。同時並行で複数行に相談し、融資枠に余裕があり前向きな金融機関を軸に複数行から調達できるようバランスをとった交渉をしたい。

 金融機関に古い作成日の事業計画書を提出すると、他行から断られたのではないか、と勘ぐられる可能性があるので、常に最新日に更新したものを持参しよう。

 (山田ビジネスコンサルティング事業企画部部長)

 
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