【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン 433】働き方改革法への対応3 青木康弘


 前回に引き続き、働き方改革法への対応について具体的なポイントを紹介しよう。罰則付きの残業時間の上限規制、年次有給休暇の取得義務、勤務間インターバル制度導入の努力義務、同一労働同一賃金など、旅館・ホテルの運営方法を根本から見直さなければならない制度改正が多い。早いものは来年4月1日より施行されるので、早めに準備しておこう。

(3)有給休暇5日の取得

 年10日以上の有給休暇が付与されるスタッフに対して、毎年、時季を指定して5日の有給休暇を与えることが義務化された。これまでは有給休暇は付与さえすればよかったが、改正後は5日間取得させなければならなくなる。

 労働基準法によれば、スタッフが入社して6カ月経過し、全労働日の8割以上出勤した場合には、年10日以上の有給休暇を付与しなければならないと定められているので、見習い中のスタッフを除いてほどんどの正社員が対象になるだろう。

 見落としがちなのが、パートスタッフも有給取得の対象となるということだ。週4日勤務の場合は入社から4年6カ月、週3日勤務の場合は入社から5年6カ月経過したパートスタッフに対して、10日の有給休暇が付与されている。皆さまの会社で対象となるスタッフは何人いるか調べてみよう。

 中抜け勤務やシフト勤務体制をとっている場合、スタッフの意思だけで有給休暇を5日取得するのは困難である。年度始めに休暇取得カレンダーを作成して、閑散期に交代で有給取得できるよう、スタッフごとの休暇予定日を会社側で指定しよう。2日以上の連続休暇を取得させれば、観光旅行に出かけたり、他の旅館・ホテルに泊まったりするなど知見を広めることができるだろう。

 もし現状のスタッフで休暇を取得させるのが難しい状況にあれば、休館日を増やすことも検討したい。低稼働が予想される日に経費をかけて営業するよりも、休館日にした方が残る利益は多い。思い切って売り止めすることをお勧めする。

(アルファコンサルティング代表取締役)

 
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