【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン 455】成功する業務マニュアルの作り方10 アルファコンサルティング代表取締役 青木康弘


 前回に引き続き、業務マニュアルを上手に作成するための手順を紹介しよう。作成するに当たって重要となるポイントだけでなく、運用・定着化のコツも紹介したい。

 10、クレーム対応

 旅館・ホテルのクレームは、スタッフの何気ないミスや対応が引き金となり、対処の間違いにより事態が深刻化する。クレームを受けたスタッフのモチベーション低下に加え、度重なるクレームは口コミ点数、売り上げの低迷につながる。

 全員が適切な対応ができるように、新人スタッフ、ヘルプスタッフにも丁寧にトレーニングしよう。業務マニュアルには、クレーム発生時の対応、クレーム発生の原因、クレーム対応のステップ、クレーム対応でやってはいけないことをまとめると良い。

 クレーム発生時の対応は、お客さまから伺った内容を漏れなく直ちに上司に報告することをルール化すると良い。

 接客係が料理提供のミスについて調理スタッフから叱責を恐れるあまり、クレーム自体を揉み消すことがある。心当たりがある場合には、報告ルートや組織風土が適切かどうか点検することをお勧めする。

 クレーム発生の原因は、新人スタッフには分かりにくいので、お客さまの心理について解説すると良いだろう。例えば、ある係のミスでお客さまが不快感を感じた場合、他の係が身に覚えのないクレームを受けることがある。お客さまはどうしてもらいたいのか、心理の理解の仕方をあらかじめマニュアルで習得しておけば、適切な対応ができるようになるだろう。

 クレーム対応のステップは、旅館・ホテルによって手順が異なるので、これまでの慣習からベストな流れをマニュアルで説明しよう。

 一般的には、素直にお詫びしてお客さまとの信頼関係を作ってから、お客さまの要望を確認して対処法を考え、お客さまに納得のいく説明をしてから、迅速に行動するという流れになる。クレーム対処後はお客さまへのフォローアップと再発防止策の検討を行うと良いだろう。

 クレーム対応でやってはいけないことは、特に間違いやすい点を箇条書きで整理すると良いだろう。例えば、「私は担当ではない」と言ってしまったり、感情的な反応をしたり、「すみません」と消極的なお詫びばかりで具体的な行動をしなかったりというのは事態の深刻化につながる。冷静に理解できる平常時に業務マニュアルを使ってしっかりとトレーニングすることをお勧めする。

(アルファコンサルティング代表取締役)

 
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