前回に引き続き、労働時間を減らしながら売り上げを維持・向上するためのポイントを紹介しよう。仕事のやり方を変えずに新法に対応しようとすると、より多くのスタッフが必要となり、人件費の増大につながる。一方で、時間外労働や有給休暇に関する規制に違反すると、厳しい罰則規定があるので注意したい。
スタッフ数が多く、情報伝達に手間を要する旅館・ホテルは、さまざまな名目でミーティングや会議が開催される。多くのスタッフが参加するため人件費がかさみ、労働生産性を悪化させる要因となる。このような問題を抱えているならば、次のような会議改革をおすすめする。
1、資料のページ数を削減する
立ち仕事の多い旅館・ホテル業で会議資料を作ろうとすると、落ち着いてから残業して対応することになりがちだ。会議で指摘されそうなことに予防線を張ろうとすると、資料のボリュームも多くなる。このような問題が起きないように、会議資料は1ページに要領良くまとめるといったルールを決めると良いだろう。
2、手の込んだ資料を作らない
フロント会計システムのデータをそのまま使わずに、独自に手の込んだ資料を作るケースがある。一見立派な資料に見えても、労働時間の増加につながるのでやめた方が良い。自分たちで資料を作るのではなく、自動集計、レポート作成できるようにシステムをカスタマイズすることをおすすめする。
3、会議の回数を減らす
過去の慣習で目的のはっきりしない会議を続けていることがある。会議は従業員教育を目的とするものを除いて、参加者を意思決定に関与できるスタッフに限定した方が良い。また、議題の事前設定、資料の事前配布、会議終了時間の厳守をルール化しよう。
4、スマートフォン(スマホ)のアプリを活用する
スタッフを集めなくてもスマホのアプリで報告や連絡、相談は十分可能だ。例えば、Slackというアプリを使えば、シフト時間が異なるスタッフのコミュニケーションが取りやすくなる。Zoomというアプリを使えば、離れた拠点間のテレビ会議も簡単だ。無料のプランもあるのでさまざまなアプリを試して気に入ったものを導入してみよう。
(アルファコンサルティング代表取締役)