前回に引き続き、労働時間を減らしながら売り上げを維持・向上するためのポイントを紹介しよう。仕事のやり方を変えずに新法に対応しようとすると、より多くのスタッフが必要となり、人件費の増大につながる。一方で、時間外労働や有給休暇に関する規制に違反すると、厳しい罰則規定があるので注意したい。
労働生産性とスタッフのモチベーションとは密接な関係がある。スタッフのモチベーションが下がると、仕事で成果が出にくくなる。
特に客室清掃係は定型化した作業が多く、やる気をもって入社してくれたスタッフも数カ月でマンネリ化しがちだ。日々の仕事が有意義なものとなるよう、次のような施策を取り組んでみよう。
1、清掃スタッフへの直接口コミ投稿
清掃は大変な仕事だが、お客さまから直接感謝される機会が少ないためにモチベーションを維持しにくい。ITを活用することにより、清掃スタッフへ直接口コミ投稿できる仕組みを作ってみよう。
やり方は簡単だ。まず、グーグルフォームでアンケートを作成し、回答の送付先が清掃スタッフになるよう設定する。次に、お客さまがスマートフォンで投稿しやすいようにQRコードを登録する。清掃スタッフは担当した客室にQRコードが印刷されたPOPを配置しておく。
こうすることで、お客さまは清掃スタッフに直接メッセージを送ることが可能となる。感謝のメッセージを受け取ればモチベーション向上につながり、クレームがあれば自分ごととして改善に努めるようになるだろう。
2、担当客室数に応じた報奨
スタッフの能力によって清掃作業のスピードや仕上がりに大きな差が発生する。待遇が同じだと有能なスタッフから不満が出やすい。担当客室数、清掃の出来に応じたポイント制を導入してスタッフのモチベーション向上を図ることをお勧めする。
例えば、1日当たりの対応客室数や、清掃スタッフへの直接口コミ投稿の内容によってポイント付与数を調整し現金と交換できるという制度が良いだろう。優秀なスタッフには異なる色のユニホームやバッジを着用してもらうことで模範になってもらうのも良い。清掃スタッフが向上心を持てるような制度設計が望ましいだろう。
(アルファコンサルティング代表取締役)