前回に引き続き、旅館・ホテルの人手不足解消法について紹介しよう。新規有効求人倍率は常に5倍を超えている現在の状況下でも、人材確保に成功している会社は少なからずある。今までのやり方にとらわれずに取り組んでみよう。
2、これまでの募集職種にこだわらず求人する
客室係や仲居、フロント係、雑用係、中番といった名称で募集すると、旧態依然とした職場のイメージで捉えられてしまうことがあり、若手の求職者に関心を持ってもらうことが難しい。また、同じエリアの館同士で経験者の取り合いになってしまうのが実情だ。
求人広告を出しても応募がほとんどないのであれば、募集職種の名称を変更してみよう。運営スタッフやマルチジョブスタッフ、といった名称で募集することをお勧めする。フロントや料飲サービス、客室、調理など各部門で基本を学んでもらった後に、本人の希望と適性に合わせて配属を決定するという形が良いだろう。
3、おもてなしを最優先にしない
一流旅館の運営者は、伝統と名に恥じない接客のできるスタッフを望むが、必要数を充足できているのはごく一部の館に過ぎない。接客スタッフに多くを望むのではなく、付加価値につながる部分だけ担当してもらい、それ以外は合理化するのが望ましい。
特に、接客スタッフに恒常的な残業や休日出勤を強いると離職が続き、営業継続が困難となる。おもてなしを最優先にしないことが逆にサービスレベルの維持、安定的な運営につながるだろう。
4、新人スタッフ中心の別部署を立ち上げる
客室係がベテランスタッフで固められていると、若いスタッフが入社してもなじめずに辞めてしまうことがある。このような傾向が続く場合には、新人スタッフをいったん受け入れるための別部署を立ち上げると良いだろう。
新しいコンセプトの朝食ブッフェ運営を料飲部門の管理職と新人スタッフ数名で担当しても良いだろう。ベテランの客室係とは別のやり方で、お客さまに喜んでいただけるサービスが提供できれば館自体の改革にもつながるだろう。
(アルファコンサルティング代表取締役)