【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン 498】すぐに効果が出る経費削減のコツ7 アルファコンサルティング代表取締役 青木康弘


 前回に引き続き、すぐに効果が出る経費削減のコツを勘定科目ごとに紹介しよう。好況に見える観光業界であるが、政情不安や災害の影響を受けやすいというリスクを軽視してはいけない。多くの利益が出たからといって節税を名目に経費を使い過ぎてしまうと、万が一の時に資金繰りに窮することになる。好況に見える今だからこそ経費の引き締めを行いたい。

 14、備品消耗品費

 主なものとして、客室アメニティやパブリック消耗品、客室備品、調理器具、食器などが挙げられる。消耗品の種類は多岐にわたるので、部門ごとに毎月の予算実績を把握し経費削減に努めることが望ましい。

 特に客室アメニティと調理器具・食器の購入費用が同じ勘定科目の中に混ざっていると、経費増加の要因が分からなくなるので、勘定科目は分けることをおすすめする。また、同じ業者へ発注し続けるのではなく、年1回は見積もり合わせをすることをおすすめする。

 15、保守費

 主なものとして、システム機器や自動ドア、エレベーター、ダムウェイター、厨房機器、ボイラー、空調機などの保守料・修繕費が挙げられる。メーカーによる保守料は、高額となる可能性があるため、予算の制約があるならば、保守管理の専門業者に見積もりを依頼することをおすすめする。

 特に業績が厳しく余計な支出がほとんどできない状況ならば、最低限の法定点検のみを行う場合に保守料はどれだけ下げられるのか提案してもらうと良いだろう。

 また、設備交換する際には、イニシャルコストだけでなく、メンテナンスの容易さや保守料などを考慮することが望ましい。ホテルシステムなどはイニシャルコストが安くても月額保守料が高いケースがあるので総額で判断しよう。

 16、通信運搬費

 主なものとして、電話料金や通信料金、運送費が挙げられる。お客さまの受託荷物や忘れ物の配送は、配送料金や取扱手数料を頂くよう徹底しよう。スタッフに携帯電話を支給している場合はキャリアやプランの見直し、ビジネスSNS活用により通信料金削減を検討しよう。

 予約確認のために宿泊日の数日前にお客さまに電話する習慣のある施設は、事前決済比率の向上やSMS通知、メールの活用により電話料金の削減を図ることをおすすめする。

 (アルファコンサルティング代表取締役)

 
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