【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン 544】ポストコロナ時代のM&A戦略3 アルファコンサルティング代表取締役 青木康弘


 前回に引き続き、ポストコロナ時代のM&A戦略について最新の情勢を踏まえながら説明したい。新型コロナの流行は旅館・ホテルの運営のあり方だけではなく、M&A取引(合併・買収)にも大きな影響を与えている。業界の先行き不透明感や資金繰り問題から売却を急ぐオーナーが増えている一方で、新型コロナによる混乱を商機ととらえて積極的に買収を仕掛ける資本家もいる。

 3、低価格物件は出口戦略に注意する

 新型コロナ流行による業績不振をきっかけに、安価な旅館・ホテル不動産が持ち込まれることが多くなっている。新築ならば十数億円かかる施設が数千万円で売りに出されていることも珍しくない。しかしながら、低価格で取得できても後々足かせとなる可能性があるので注意したい。

 特に注意したいのが固定資産税である。固定資産税公租公課証明書という書類を売主から取得すれば、毎年負担すべき固定資産税の額を確認することができる。税額が高い場合、短期で事業化しないと手許資金が納税で失われていく。安いからといってすぐに手を出さず、まずはリニューアルや開業準備のために必要な投資額を見積もりたい。

 自社から離れた施設の場合、テリトリー外であることを理由に取引銀行から融資が受けられない可能性がある。銀行に事業計画を提出して融資を受けることが可能か事前相談をしておきたい。資金を確保した上で、黒字化できると確信がもててから商談を進めよう。

 築30年以上の古い施設の場合には、最終的に第三者へ売却するか、取り壊しするか、建て替えするか方針を決めておきたい。取り壊しする場合には坪3万円から5万円程度の費用がかかる。大型施設の場合は1億円以上かかることもある。将来大きな負担になるので、取り壊し費用を含めて投資回収できるか慎重に判断したい。

 「M&Aで施設を取得したいがどのように進めたら良いかわからない」「旅館を買わないかと他社から打診を受けているが購入して良いか分からない」と悩んでいる方は、本紙読者限定で無料相談を受け付けている。詳しくは、yaoki@alfa-consulting.co.jp宛に連絡してほしい。

 (アルファコンサルティング代表取締役)

 
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