前回に引き続き、アフターコロナ下でも収益力の高い施設になるための取り組みポイントを紹介しよう。2020年は新型コロナに翻弄(ほんろう)された年だった。秋口から本格化したGo Toトラベル事業により観光客回復の道筋が立ったかと思いきや、第3波により先行きが不透明になってしまった。21年中盤までには訪日外国人受け入れ再開やワクチンの普及、オリンピック開催決定などにより正常化を期待したい。
6、新規事業に積極的に取り組む
新型コロナによる経済環境の変化を受けて、新規事業への進出を後押しする動きが高まっている。
政府が発表した中小企業等事業再構築促進事業においては、「新分野展開や業態転換、事業・業種転換等の取組、組織再編又はこれらの取組を通じた規模の拡大等を目指す」事業に対して最大1億円の支援を行うとしている。
予算規模は1兆円超であり、アフターコロナに向けた補助金事業の大きな目玉になっているのでぜひチャレンジしたい。
本補助金の趣旨から考えると、シェアオフィスやワーケーション、ケータリング、ECサイト、サブスク、DX(デジタルトランスフォーメーション)といったテーマを盛り込んだ提案書が評価されやすいだろう。
シェアオフィスは、ロビーを改装して一般客だけでなく、コワーキングを目的とした客にも可能なカフェやラウンジスペースを設けたり、宴会場を改装してスモールオフィスやウェブ同時中継可能なセミナールームを作ったりするという構想が考えられる。
ワーケーションは、出張者に客室提供するだけでは新規事業といえないので、長期滞在可能な設備を客室や共有部に設けたり、宴会場や一部客室を改装してサテライトオフィスにしたりするのも一案である。
ケータリングやECサイトは、加工食品が作りやすいよう厨房機器を改造したり、配送用のトラックを購入したり、宿泊施設とは別のサイトを立ち上げたりといった取り組みを申請書に盛り込むことが考えられる。旅館・ホテルのサブスクサービスは、まだリーダー的な企業が現れておらず新規参入のチャンスと言える。
DXは、切り口はさまざまであるが、申請書に盛り込むと審査上、プラスに評価されやすいだろう。募集開始は少し先となるが、第1回の公募が最も採択率が高いと想定されるので、今のうちから万全の準備をしておきたい。
(アルファコンサルティング代表取締役)