前回に引き続き、アフターコロナ下でも収益力の高い施設になるための取り組みポイントを紹介しよう。2020年は新型コロナに翻弄(ほんろう)された年だった。秋口から本格化したGo Toトラベル事業により観光客回復の道筋が立ったかと思いきや、第3波により先行きが不透明になってしまった。21年中盤までには訪日外国人受け入れ再開やワクチンの普及、オリンピック開催決定などにより正常化を期待したい。
7、コロナ禍でも宿泊者が集まる施設をヒントにする(1)
緊急事態宣言により、宿泊客が完全にストップしたかというとそうではない。少数ながらも高稼働を実現している施設がある。中には2、3月以降の稼働率予想を80%以上としている施設もある。
広告宣伝を熱心にやっているわけでもないのに、なぜコロナ禍でも宿泊者が集まるのだろうか。アフターコロナにおける集客策のヒントになると思うので共通点を整理したい。
まず、他の宿泊客と会う機会が少ないイメージを与える施設である。新型コロナ対策としてソーシャルディスタンスが提唱されるようになったために、人に近づくことに過度に抵抗感を感じる消費者が多くなった。
本来は飛沫感染を避けるための一定間隔の確保を狙いとしたものだったが、今では旅館内で他の宿泊客と会うだけで気まずそうにする客がいる。
そのため、静かな雰囲気でプライベート感のある施設に宿泊者が集まるようになっている。留意すべきことは、宿泊者が集まる施設とそうでない施設で、建物の間取りや付帯施設に大きな差はないことだ。消費者はあくまでイメージで宿泊先を選択していると考えられる。
行動様式の変化に対応するならば、プロモーションの工夫として、夜景や陰影のある写真を利用すると良い。人が多くにぎやかな印象を与えないよう、モデルは多用しすぎない方が良い。
次に、ゴルフや釣りなどアウトドアスポーツの愛好家のリピート利用が多い施設である。アウトドアは年々人気が高まっているが、コロナ禍によりその人気は加速している。今後も潜在的な宿泊層の拡大が期待できるだろう。趣味を伴う利用は自粛ムードの中でもリピート利用が見込める。定宿にしている施設であれば、滞在時の衛生環境を理解しているため自宅のように安心できるというのも理由だろう。
(アルファコンサルティング代表取締役)