【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン 590】コロナ小康期の業績アップ法5 青木康弘


青木氏

 前回に引き続き、コロナ小康期に業績アップに向けて取り組むべきことを紹介したい。感染者数の抑制が続くと、雇用調整助成金や補助金、融資制度が打ち切られることが想定される。そうなる前に業績の正常化を図りたい。

 5、スタッフの再トレーニング

 11月に入ってから予約の動きが活発になってきたという声を多く聞くようになった。正常化の足がかりになる良いチャンスであるが、クレームに悩まされる施設も増えてきている。理由は急に客数が増えたからということだけではない。長期の稼働率低迷による、従業員の入れ替わりやトレーニング不足が大きな原因となっている。

 クレームや口コミ評価の内容を確認して、新型コロナ流行前にはなかったトラブルが発生していないかよくチェックしてほしい。もし宿泊者数に対するクレーム件数(クレーム発生率)や口コミ評価点に悪化の傾向が見られるならば、原因を把握しすぐに対処したい。

 効果的な解決策は、社内外の講師による研修である。業務の進め方に起因するクレームであれば、ベテランスタッフを講師にした研修を実施したい。業務知識の再修得とスタッフの意識付けにつながるだろう。接客サービスに起因するクレームであれば、多少コストはかかるが外部講師による研修をお勧めする。特にスタッフの入れ替えの多かった施設は繁忙期に入る前に実施したい。

 サービス品質の低下に対しても対処したい。直ちにクレームにつながるものではないが、体験価値の低下は顧客離れにつながる。「新型コロナが落ち着いたので、久しぶりに泊まりにきたが、以前宿泊した時ほどの満足度は得られなかった」とリピート客から言われることのないように留意したい。

 課題点を発見するには、ミステリーショッパー(覆面調査)をすると良い。予約から来館、滞在、お見送りまでの流れの中で対応に問題がないかチェックすることで、体験価値の低下が発生している部分を突き止めることができる。

 弊社が調査したケースでは、朝食の調理レベル、料飲スタッフの接客レベル、客室の清掃品質がコロナ前よりも低下したとみられる施設があった。外部機関に依頼するのが予算上難しければ、複数の関係者に協力依頼すると良いだろう。

 (アルファコンサルティング代表取締役)

 
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