【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン 614】お金をかけずにできる生産性向上1 青木康弘


青木氏

 観光業でもDX(デジタルトランスフォーメーション)が注目されるようになったが、システム導入の費用が高額なことがネックとなり、取り組みに躊躇(ちゅうちょ)する施設は少なくない。予約業務の効率化を重視する施設やシステム会社は多い一方で、日々の業務は昔のままで全く効率化が進んでいないこともよく見られる。
 この傾向は、地方の小規模旅館だけでなく、大手ホテルチェーンも同様だ。今回コラムでは、お金をかけずに日々の業務を効率化する方法を紹介しよう。

 (1)現金チェックが多い場合は自動釣り銭機を導入する

 現金チェックを1日複数回行っていないだろうか。スタッフの不正をきっかけに複数回チェックするようになったという話を聞くことが多いが、引き継ぎに時間を要することになり人件費アップにつながる。このような施設は自動釣り銭機の導入を検討しよう。

 ビジネスホテルで導入が盛んな自動精算機は、小規模旅館にとって高価で費用対効果の観点からおすすめしない。自動釣り銭機は中古ならば十数万円から購入でき、ホテルシステムのほか、レストランや売店のPOSにも連動させることが可能だ。夜間の現金管理も安心なのでぜひ導入することをお勧めする。

 (2)請求書発行は会計ソフトのアプリを使う

 請求書をエクセルで作成していないだろうか。エクセルは一見すると効率的に見えるが、手入力となるため間違いが発生しやすい。宛先や単価、金額はもちろんのこと、消費税の計算間違いも発生する。上席による内容のチェックや承認は印刷後となり、発送まで手間と時間がかかる。このような場合は、クラウド型の会計ソフトに付属する請求書発行アプリを活用しよう。

 例えば、マネーフォワードが提供しているMF請求書というアプリは、大変便利なものだ。電子メールを書くような感覚で請求書を作成することができる。請求書の郵送もオンライン上で可能だ。宛先や品目はあらかじめマスタ登録でき、類似の請求書を作成するのも容易だ。請求データは会計ソフトに取り込まれ、自動仕訳にも対応している。

 最近の会計ソフトは他社の入力データを簡単に取り込むことができ、乗り換えもスムーズだ。効率化を一層推進したい方は会計ソフトの変更を検討することをお勧めする。

 (アルファコンサルティング代表取締役)

 
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