前回に引き続き、平凡な施設をいかに魅力的な施設に変えていくかについて説明したい。コンセプトを明確化して差別化を図るというのが良いとされているが、個性のはっきりした施設は少数だ。多くの経営者は、自社の施設は平凡で特色なく集客しにくいと悩んでいる。
地元体験や交流を楽しむ旅行の人気が高まっている。観光客向けではない施設の掘り起こしを行い、自施設がそのハブ的な役割を担うことで集客につなげていこう。
街なかにある宿泊施設は、周辺に地元民の日常生活があり、風光明媚な観光スポットも少ないことからハンデに感じる経営者は多い。しかし、周辺に飲食店や小売店、専門店、娯楽施設などが多いことを逆手に取った策を講じることは可能だ。街に開かれた旅館・ホテルとして特色を出すのだ。
やり方は簡単だ。施設のロビーに大きめの周辺マップを作り、魅力的な店に印をつけて紹介する。紹介するのは観光客向けの施設である必要はない。地元民ばかりが利用する店でも良い。勝手に紹介するのではなく、店主にインタビューすることで、ユニークな紹介文を作成しよう。
SNSでは見つけられない、観光客が立ち入りにくいような店を紹介すると、施設として独自色を出すことができる。地元客しか行かないような飲食店は、観光客にとって新鮮で大変魅力的なものである。金物屋や陶磁器店など、商店街の老舗でも良い。地元の材料や産品を扱う店であれば希少性があって良い。
工芸品などを扱う店であれば、作品を地図のまわりに置くことでその店を紹介しても良い。商品を仕入れしたり、送客契約を結んだりする必要はない。自施設でワークショップをしてもらったり、自社の動画SNSに出演してもらったりすると良い。
施設独自のものだと宣伝色が強くなり閲覧数が伸びない傾向にあるが、作家とのコラボであれば抵抗感なく閲覧数を増やすことができるだろう。自施設の知名度、魅力アップにつながるよう工夫をしたい。
(アルファコンサルティング代表取締役)