【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン 634】平凡な施設の集客法7 青木康弘


青木氏

 前回に引き続き、平凡な施設をいかに魅力的な施設に変えていくかについて説明したい。コンセプトを明確化して差別化を図るというのが良いとされているが、個性のはっきりした施設は少数だ。多くの経営者は、自社の施設は平凡で特色なく集客しにくいと悩んでいる。

 皆さまの施設で稼働の低いスペースがあったら、他企業に提供することを検討してみよう。名の通ったチェーン店である必要は全くない。ユニークな店と連携すればニュース性が高まり集客効果が期待できるだろう。

 スペースの提供方法は、固定家賃でなくて良い。連携する企業にとって固定家賃はリスクが大きい。立地は良いものの集客が見込めるか不安ならば、変動家賃が良いだろう。売り上げに対して8%が出店する側にとって受け入れやすい水準だ。もし出店に当たって内装費用の捻出が難しいと言われたら、いったんこちらで負担して変動家賃に上乗せするというやり方もある。

 ある程度、集客が見込めるところであれば、固定家賃+変動家賃というやり方もある。例えば、売り上げの8%を変動家賃、最低保証家賃を坪5千円とするのだ。家賃設定は、貸主と借主の力関係によって決まるので、柔軟に対応したい。

 賃貸での出店に不安があると言われた場合には、管理運営委託というやり方がある。店舗スペースや内装、什器備品、一般スタッフはこちらで準備して、売り上げに対する歩合を払って店舗運営をしてもらうのだ。先方には屋号と広告宣伝、商品・サービス、管理能力のあるベテランスタッフを提供してもらう。このやり方であれば、先方は低リスクで出店することができ、前向きな判断をしやすい。人気のある商品・サービスを提供している店を誘致する場合は、管理運営委託も含めて検討したい。

 出店を検討する企業と親しく、共同事業として取り組むならば、レベニューシェアという方法もある。獲得した売り上げ、または償却前営業利益を皆さまの会社と先方でシェアするのだ。シェアする割合は、取り組む事業の内容や、それぞれの貢献度によって決まる。比較的若い会社や外国系の会社に受け入れられやすい考え方だ。

 以上のような手法を使って、稼働の低いスペースを活用して、個性ある施設へと変貌させたい。

 (アルファコンサルティング代表取締役)

 
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