【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン 655】連泊型旅館への転換〈2〉 青木康弘


 前回に引き続き、高単価の連泊客に選ばれる施設になるためのポイントを紹介したい。施設の高付加価値化やインバウンド個人客の集客を進めていくにあたって、今後取り組みを強化したいのが連泊客への対応である。

 これまで旅館は連泊客の対応を苦手としていた。しかし、旅先での過ごし方が大きく変革するなかで、1泊2食の運営形態に固執しすぎるとお客さまから選ばれなくなる可能性があるため、今のうちから改革を進めていこう。

 (3)生活利便機能を充実させる

 連泊客のニーズを旅館の売店や付帯施設だけで満たすことは難しい。日常の生活習慣からコンビニやドラッグストア等の最寄り品を扱う店舗を利用したいと考えるお客さまは多い。滞在日数が数日を超えてくると、レストランやカフェ、ファストフードなどの飲食店やフィットネスクラブ、ランドリー、雑貨や衣料品など買周り品を扱う店舗を求めるようになる。都市型の旅館であれば、近隣の店舗を案内すれば良いが、郊外の施設では連泊客向けの配慮が必要になる。

 コンビニやドラッグストアは、近隣住民の利用も期待できるならば自社でフランチャイズ加盟して取り組んでも良い。チェーン本部によって商圏人口の最低ラインは異なるので、複数チェーンに打診すると良い。人口数千人の町でも加盟できるチェーンがあるので諦めず検討しよう。

 レストランやカフェ、ファストフードは、日帰り観光客が期待できるならば、参入を検討すると良い。連泊すると旅館料理に飽きてくる消費者が多い。洋食やカフェで提供するような食事が好まれる。旅館の施設内でレストラン運営しようとすると、調理スタッフのシフト管理が難しいので、外来客向けの店舗は、別に切り離して運営することをお勧めする。

 フィットネスやランドリーは、周辺に住宅街があれば地元利用も期待できる。施設内や敷地内に誘致しても良いだろう。特に高単価客は健康管理に気遣う人が多く、フィットネス設備の充実したリゾートホテルを好む傾向にある。旅館でもフィットネスなどの付帯施設を充実させることで、高単価客の獲得につなげることができるだろう。

(アルファコンサルティング代表取締役)

 
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