【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン 660】高度AI技術の活用による生産性向上〈1〉 青木康弘


 高度AI技術を活用して、人間のように自然な会話ができる言語処理モデル「ChatGPT」「Google Bard」が注目を集めている。これまでも、観光業界ではAIが広く利用されてきた。例えば、オンライン予約サイトで訪問者に最適な旅行プランを提供したり、チャットボットや自動応答システムといったカスタマーサービスを提供したりといった用途である。

 ただし、このようなシステムは大手企業が多額の予算を投じて構築するものであり、地方の旅館・ホテルが利用することは困難であった。「ChatGPT」などのAIは、無料もしくは低廉な料金で利用可能で、人間と会話をするように日本語で文字入力すれば的確な回答を出してくれる。コンピューターに詳しくない人でも利用しやすく、うまく活用すれば施設運営を劇的に効率化する可能性を秘めている。今回のコラムでは、事例を踏まえながら活用法を紹介しよう。

 (1)口コミ返信文、おわび文の自動作成

 入力欄に「あなたは○○旅館の女将です。次の口コミに対して心をこめて返信してください。【お客さまの口コミ】」と書いてみよう。AIが心のこもった流暢な返信文を作成してくれる。文体もさまざまにアレンジ可能だ。「心を込めて」ではなく「紳士的に」と入力すると、誠実な男性口調で返信文を作成する。「英語で」「簡体字で」「ハングルで」と入力すれば他言語での返信文も作成可能だ。「中学生向けに」「大学生向けに」と入力すれば客層に合った文体や内容にすることができる。

 お客さまのクレームに対するおわび文も自動作成可能だ。入力欄に「あなたはホテルの支配人です。【クレームの内容】により不快な思いをしたお客さまに謝罪の手紙を書いてください。」と入力してみよう。AIが手紙形式でおわび文を作成してくれる。言葉の言い回しや事実関係、文体について変更したい点があれば、入力欄に依頼内容を書けば、すぐに書き直してくれる。

 このように、無料や低コストで導入可能なこれらのAIは、口コミ返信文の作成やクレームへの対応など、顧客対応に大いに貢献してくれる。地方の旅館・ホテルこそ、最先端技術を活用して効率化を実現してほしい。

 (アルファコンサルティング代表取締役)

 
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