【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン 671】行政との新たな関係性の作り方〈2〉 青木康弘


 前回に引き続き、地方行政との円滑なパートナーシップを構築し、地域活性化を進めていくための戦略について紹介したい。観光業は地方創生の重要な柱であるが、理想的な関係が築けていない地域は少なくない。観光事業者は、行政に対して期待通りの動きをしてくれないと不満を募らせている一方で、行政側は、民間からの要望に全て応えることは難しいと考えている現実もある。

 (2)地方高級ホテル誘致への対応

 政府の高級ホテル地方誘致の方針を受けて、地方自治体が積極的に誘致に向けた取り組みを始めている。先行する自治体では補助金制度を充実させ、外資ブランドを冠したホテル誘致を進めている。これに対抗すべく、その周辺の自治体でも事業化に向けた取り組みが盛んになっている。

 このような動きは、地元の旅館業、特に比較的単価の高い業態に影響を及ぼす。高級ホテルと高級旅館は業態が異なるものの、ターゲット層に重なる部分が大きいからである。日本の美意識を演出するために、和風の内装や温泉を設けたホテルも存在し、旅館との垣根は低くなっている。苦労して客室改装やインバウンド客への対応を進めている中で、外資ホテルに顧客を奪われる可能性が高まるという事態は、旅館経営者にとって心穏やかなことではない。

ペイウォール会員向け記事です。

 
新聞ご購読のお申し込み

注目のコンテンツ

第37回「にっぽんの温泉100選」発表!(2023年12月18日号発表)

  • 1位草津、2位下呂、3位道後

2023年度「5つ星の宿」発表!(2023年12月18日号発表)

  • 最新の「人気温泉旅館ホテル250選」「5つ星の宿」「5つ星の宿プラチナ」は?

第37回にっぽんの温泉100選「投票理由別ランキング ベスト100」(2024年1月1日号発表)

  • 「雰囲気」「見所・レジャー&体験」「泉質」「郷土料理・ご当地グルメ」の各カテゴリ別ランキング・ベスト100を発表!

2023 年度人気温泉旅館ホテル250選「投票理由別ランキング ベスト100」(2024年1月22日号発表)

  • 「料理」「接客」「温泉・浴場」「施設」「雰囲気」のベスト100軒