【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン 681】ゼロゼロ融資返済を取り巻く実態〈3〉 青木康弘


 前回に引き続き、ゼロゼロ融資の返済を取り巻く実態について説明したい。新型コロナに伴う資金繰り対策を目的とした無担保・無利子融資(ゼロゼロ融資)の返済が大きな問題となっている。旅館・ホテル業界は元本弁済の据置期間が長く、これから返済が本格化する。特に、ゼロゼロ融資を活用して設備投資を行った施設はこれからが正念場となる。

 資金繰りに不安を感じている場合、約定返済日が到来する前に金融機関へのリスケの申し出を行うことが賢明である。手元資金が枯渇してから元本弁済ストップすると、金利すら払えなくなってしまうリスクがある。いったん、元金返済をストップしてしまうと新規融資を受けることは事実上不可能となる。当面の運転資金を確保しておき、利払いの余力があるうちにリスケの申し出を行った方が良い。ただし、税金や社会保険料は分割納付でも構わないので必ず納付しておこう。税金等の未納があると事業再生は極めて困難となるためだ。

 新型コロナに伴う融資であってもリスケは可能だ。返済計画は債務償還年数20年、債務超過解消年数10年が目安になるが、毎月の返済額を均等にする必要はない。毎月の返済を少額に抑えて、最終回に残金をまとめて返済するテールヘビー方式も検討したい。

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